薬物動態学研究室

研究課題

新しい遺伝子治療薬の開発とその体内動態・治療効果・生体応答の解析
腫瘍溶解性ウイルス(がん細胞で特異的に感染増殖し、がん細胞を死滅させるウイルス)を用いたがん治療に関する研究
病態に伴う薬物や生理活性物質の体内動態特性の変動(特に代謝酵素およびトランスポーターの役割や活性変動)

研究室紹介

薬物動態学は、医薬品を投与した後の生体内での医薬品の動き(薬物動態)を解析するとともに、生体側の要因(年齢や病気など)や製剤側の要因(医薬品の大きさや電荷など)が薬物動態にどのように影響するかという問題を解明する学問です。医薬品が副作用なく、高い治療効果を示すには、医薬品が体内の標的組織まで高効率に移行しなければいけません。すなわち薬物動態学は、医薬品開発および医薬品の適正使用を考えるうえで欠かせないものであり、薬学部にのみ存在する学問分野です。特に近年、遺伝子治療薬や核酸医薬、細胞製剤といった複雑な特性を有するバイオ医薬品の開発が盛んに行われており、これらのバイオ医薬品の薬物動態研究が極めて重要となっています。
2024年度から新体制となった当研究室では、主にウイルスを基盤とした遺伝子治療薬の体内動態と治療効果、生体応答との関連を解析しています。さらに、そのデータを基に新しい遺伝子治療薬や核酸医薬の開発に取り組んでいます。遺伝子の本体であるDNAやRNAを医薬品として投与する遺伝子治療は、次世代の革新的医薬品として期待され、世界で既に30品目以上が承認されています。COVID-19ワクチンも、遺伝子治療の基盤技術をベースに作られています。当研究室では、そのような次世代の遺伝子治療薬開発を担う人材、および臨床現場で薬剤師として遺伝子治療薬を含む、種々のバイオ医薬品を扱うことのできる人材の育成を目指しています。