学科長挨拶

生命のしくみはイノベーションのヒントに満ちている

私たちは、遡ればたった1つの細胞(受精卵)からスタートします。この1つの細胞からどのようにして肢芽が芽生え、肢芽からどのようにして精巧な手がつくられていくのでしょうか。私たちのからだをつくり、そして生きていくために、ゲノムに書き込まれた数多の情報は時空間的に厳格かつ柔軟な発現制御を受けています。遺伝子工学科では、生物の持つ普遍性と特殊性によるしなやかなメカニズムを解き明かし、最先端の生命科学研究から食資源や環境、医療などの技術革新を展開しています。例えば、「食資源」分野では、美味しい黒毛和牛を上手に育てるための分子診断に基づく飼養管理、「環境」分野では、野生動物や動物園動物の人工繁殖技術、また、「医療」分野では、生殖補助技術や医療用機能素材の開発などに取り組んでいます。それらを支える基礎研究も負けていません。動物のかたちづくりと進化を分子で解き明かしたい、受精・発生や再生のしくみをこの目で視たい、クローンの謎に迫りたい、がんや免疫の病気抑えたい・・・このようなユニークな研究に夢を抱いてチャレンジしています。

本学科は、平成9年(1997年)の創設以来、「ゲノム機能解析」「バイオインフォマティクス」「遺伝子組換え動物作製」「生殖・発生工学」等の遺伝子工学における各領域の研究基盤を整え、生命科学という学問の開拓とその成果の社会への還元を使命として活動してきました。そして、20余年にわたる教育研究を通して、社会で活躍する卒業生を数多く輩出してきました。しかし、今、私たちを取り巻く社会は大きな変革期を迎えており、新しい未来を築くためのイノベーションの担い手となる人材像が求められています。本学科で体験する“合理性と意外性に満ちた生命のしくみ”を探求する学びは、困難な課題に立ち向かい克服する力を備えた若者を育む場としての役割を果たすものと確信しています。ぜひ、みなさん、遺伝子工学科の門をたたき、生命の不思議に触れ、先生や仲間たちとともにその謎解きに夢中になってください。

学科長

三谷 匡
TASUKU MITANI
遺伝子工学科長/遺伝子工学科 教授