美術史・芸術学ゼミ
「美術史学」とは、人間が様々な美術活動を通じて生み出してきた作品を、歴史的な立場から考える学問です。美術史・芸術学ゼミでは、古代から現代にいたる芸術作品をとりあげ、制作背景や鑑賞された状況を探り、その歴史的な意義などを考察します。長い時間に耐えてきた作品の持つ豊かな物語を知り、芸術作品を歴史的な視点でとらえることをめざします。
ゼミⅠでは主に西洋美術、ゼミⅡでは主に日本・東洋美術を対象とします。一部の授業はⅠ・Ⅱ合同で行います。
美術に限らず様々なジャンルの芸術―マンガ、アニメ、ファッション、映画、写真、美術教育等―も研究テーマに選べます。
美術史・芸術学ゼミ
ゼミ風景
1・2年次で美術史研究の基本的な方法を学び、
3年次からは各自が自分の課題に取り組む個人研究に進みます
卒業論文研究
学生諸君が各々自由にテーマを選ぶ個人研究では、画像資料等を用いて口頭発表を行い、ゼミ内で討論を重ねることで、自ら問題設定をして解決する能力や、それを多くの人に伝えるプレゼンテーション能力を身につけます。4年次には、その成果 を卒業論文にまとめ、『卒業論文集』に所収するとともに、「造形芸術専攻制作展」で、パネル発表を行います。過去の卒業論文については、こちらをクリックしてください。
エクスカーション
芸術学研究では、実作品を自分の眼で「見る」ことが何よりも大切です。美術史・芸術学ゼミでは、年間6回程度、関西の美術館で開催される美術展や、神社仏閣を見学するエクスカーションを行います。実際の美術品に触れることで、机の上だけに留まらない、芸術学研究の魅力に触れます。過去のエクスカーションについては、こちらをクリックしてください。
美術鑑賞教育の実践
近隣の高校と連携し、美術鑑賞教室を行います。学生たちが自ら教材を練り上げ、高校生たちの前で鑑賞教育の授業をすることを通じて、作品の魅力を伝える実践的な力を養います。
過去の卒業論文テーマ
2017年度 所収論文 「宗教的画題の作品におけるピーテル・ブリューゲル(父)の独自性」 ★「印象主義絵画にみられる筆触表現について ―ジェームズ・マクニール・ホイッスラーとの比較―」 「音楽と絵画の交わり ―交差点に立つパウル・クレー―」 「『WATCHMEN』 の特異性から見るヒーローコミックスの役割」 「フェリックス・ゴンザレス=トレスとエイズ ―エイズがもたらした作品への影響―」 「美術教育の可能性」 「「適応」する神々 ―スマホゲームにおけるキャラクター化について―」 「アニメーションから考える人間・身体」 「VRは究極の虚構となり得るか ―超越論的観念論の立場からのVRの考察―」 「興福寺南円堂四天王像の位置付け」 ★「江戸の絵師・酒井抱一 ―光琳画風に加えられた独自性の考察―」 「加賀友禅の独自性 ―色彩・技法・デザイン・名称から見る京友禅との差別化―」 「絵画に焦がれた“芸術写真”の矛盾と功績 ―写真独自の芸術性について―」 「ロックが持つもの ―ロックの誕生と死―」 「スポーツ観戦における視点の考察」 「人とマスコットキャラクターの関係性」 「日本のアニメが向かう先」 |
2016年度 所収論文 ★「アキレスと亀としての芸術理解と芸術体験」 「『聖愛と俗愛』 ―ヴィーナスの視線―」 「メンデルスゾーンの交響曲に影響を与えた要因について」 「パリと日本の近代ポスター」 「シャネルが現代でも人気がある理由」 「ヤン・シュヴァンクマイエルの『ALICE』 ~触覚主義とシュルレアリスム」 「スティーブン・スピルバーグのコミュニケーション論」 「漫画における「身体性」の分析」 「ピンク色が与える印象、効果とその利用」 「フィギュアスケートの芸術性 ~変わっていくものと、変わらぬもの~」 「擬人化の分類と意味」 「余白を読む ~俵屋宗達の二曲一双作品からの考察~」 「鯰絵 ―社会的弱者のミカタ―」 ★「最後の浮世絵師・月岡芳年の死と救い」 「異色の作品は何故生まれるのか ―岡本太郎からの考察―」 「人気漫画『ドラえもん』の世界 ―てんとう虫コミックスより―」 「千二百年間の「かわいい」変遷」 |
2015年度 所収論文 「二条城二の丸御殿の空間と障壁画の関係」 ★「王立絵画・彫刻アカデミー ―絵画教育の制度と色彩論争―」 「クロード・モネの世界 ―表現技法の本質―」 「オディロン・ルドン ―黒の時代―」 ★「ファム・ファタールを愛した世紀末 ―ドゥミモンデーヌ・オペラ・ワイルド・ビアズリー―」 「ダダとその周辺を見つめて ―未来派、トリスタン・ツァラを通しての考察―」 「エッシャー ―無限の探究者―」 「中原純一と「美しさ」 ―雑誌『それいゆ』を通して―」 ★「小林一三と宝塚歌劇団」 「スポーツの美しさと楽しまれ方」 |
2014年度 所収論文 ★「レオナルド・ダ・ヴィンチ《最後の晩餐》における身体表現とその影響について」 「ロマン派音楽の精神性 ―シューマンを通してその魅力を探る―」 「なぜ人は絵を描くのか ―西洋絵画からの考察―」 「『ハムレット』からみる女性像」 「三都三園 ~女性表現を革新した女性画家たち~」 「ファッションの中のジャポニズム ~1970年代以降の日本人デザイナーがもたらした伝統と革新~」 「岡本太郎の芸術 ―彼を通すことで見える〝芸術”の意味―」 「チャップリンはなぜパンケーキを分け与えたか?」 「西洋装飾史におけるケルト渦巻文様の創出」 「日本再発見 ―グローバリゼーションにみる日本文化の特異性、その光と影―」 「『時計仕掛けのオレンジ』への考察」 |
2013年度 所収論文 「大野一雄の舞踏からみる「醜さ」と「美しさ」」 「COCO CHANEL ―ココ・シャネルのブランド力とは―」 「ヴェネツィアの都市空間 ―華麗な建築と迷宮空間―」 ★「快と不快の共存 ―カント崇高論を軸として―」 「アルフォンス・ミュシャの芸術様式」 「「風の谷のナウシカ」とアニミズム文化についての考察」 ★「パウル・クレー・オーケストラ ―絵画と音楽の関わり方―」 「クリムトの思想 ―《ベートーヴェン・フリーズ》と学科絵―」 「スポーツの美についての感性学的考察」 「新プラトン主義からみた教皇ユリウス2世墓廟第1案」 「花沢健吾 ―マンガのストーリーから魅力を探る―」 「雪舟と山水画」 「美の呪力 ―岡本太郎によるミロへの再認識を通して―」 「18世紀末 ―19世紀英国の時代趣味にみるターナー」 |
★印は優秀賞受賞論文
エクスカーションの実施例
ワークショップ
- 羊皮紙制作体験
現地見学
- 東大寺(俊乗堂・開山堂・法華堂執金剛神特別開扉ほか)
- 興福寺
- 四天王寺(中門仁王像修覆現場見学ほか)
- 大阪市立博物館
- 奈良国立博物館
- 大塚国際美術館
- 京都国立博物館
- 兵庫県立美術館