限られたエネルギーで
最大の活動を。
最先端のニューラルネットワークで
災害救助現場などで使用される
移動用ロボットの消費電力を予知!

平良 旭/楠戸 隆一郎

Vol.15

エネルギー効率を極める
消費電力の予測にチャレンジ!

  • 7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
平良 旭/楠戸 隆一郎

ロボティクス学科4年

平良 旭(左)

Akira Taira

ロボティクス学科4年

楠戸 隆一郎(右)

Ryuichiro Kusudo

「計測・移動ロボット研究室」所属。ロボットに関する基礎理論の構築から、社会実装した際のエネルギー効率化など応用に取り組む。

ロボティクス学科は
ロボット本体を作るだけじゃない。
それを動かすソフトウェア=脳を一から知り、
ロボットのポテンシャルを高めていく。
それは、省エネや環境負荷の削減に
つながる学びです。

近畿大学工学部のロボティクス学科では、機械、電気、電子、情報など、複数の分野を融合させた知識と技術をはじめ、近年は人工知能などソフトウェアにも力を入れた幅広い学びが得られます。その中で僕たちは、移動用ロボットの消費電力の予測システムについて研究しています。災害救助現場などにおいて使用される移動用ロボットは、人命にかかわるミッションを担っているだけに、運用中の消費電力量をあらかじめ把握することが重要です。推定の精度が上がれば、ロボットの配置など事前計画に生かされますが、僕たちが着目しているのは駆動中の消費量のリアルタイム予測で、それがあることで現場の状況などに合わせた運用と修正まで行えるシステムの構築をめざしています。

【平良】具体的には、移動用ロボットが走行している際の駆動系の速度、角速度、ロボットの振動データと、その時の消費電力量を取得してデータセットにまとめ、それをニューラルネットワークに学習させて消費電力量推定のモデルを構築します。特に僕が興味を惹かれているニューラルネットワークとは、人の脳の動きを数理モデルで再現するもので、すでにチャットボットや桜の開花時期予測など活用事例は多岐にわたります。さまざまな社会問題は、ニューラルネットワークを組み込んだシステムで効率化・自動化できる余地があると思っていて、その一端を担う研究には大きなやりがいがあります。

今は四輪の台に載せたカメラで部屋の中を撮影し、その映像から自動走行するロボットの製作に挑戦しています。例えば50cm未満の障害物は避けて曲がる、50cm以上は少し余裕があるので前進するという具合に学習させますが、屋外に持っていくと同じように駆動しません。今進めている研究とは別の実験でニューラルネットワークの理解を進めている状態ですが、社会実装となるともっと複雑な形状の道や坂などもあり、そういった要素が手軽に加味できるような精度の向上が必要なことがわかりました。

【楠戸】消費電力の予測で得られるメリットは、エネルギーの効率化と、もうひとつコストが抑えられることにあります。予測が立てばバッテリーの運用や充電計画に反映でき、無駄な動きを減らせばコスト削減にもつなげられるということです。僕が進めようとしているのは、ロボットが走行する際の路面状況や振動を計測し、それをグラフに変換したものと実際の消費電力の関係を人工知能に学習させ予測させるシステムです。研究を進めるにつれ、単にロボット技術の問題ではなく、社会全体の省エネや環境負荷削減に直結していることを実感すると同時に、自身で見つけた課題を、どうすれば解決できるか考える力がつき、大きな成長を感じています。

プログラミングにも言語があって、授業で学んだものと研究で取り組もうとしているものとは性質が異なり、ロボットを動かすだけでも苦労することがあります。ただ、社会実装や応用をめざすときは最新技術の知識も必要であり、ロボットの仕組みはわかっても動かし方には多様なアプローチがあるので、そこを自身の頭で考え、形にしていく醍醐味があります。

現在、人工知能は当たり前のものになりましたが、ニューラルネットワークのような人工知能はこれからさらに熱くなる分野だと思います。研究を行っていると、収集したデータの質が、想像以上に機械学習の精度に大きな影響を与えることにおもしろさを感じました。そして、それはまだまだニューラルネットワークがインフラやロボット技術の高度化に貢献できるということであり、さまざまな分野に転用可能な技術であることにも気づかされます。今後もニューラルネットワークの技術習得はもちろん、消費電力量予測システムの完成にも注力し、いずれは機械学習エンジニアとして開発した技術を社会に役立てられるよう、結果を出していきたいと考えています。

※学生の所属および学年は、2025年度取材時のものです。