教育理念

医学研究科の教育研究の理念と目的、 育成する人材像

本学医学研究科における教育研究の理念と目標には、二本の柱があります。第1の柱は世界をリードする研究者の教育と養成であり、これまでに基礎・臨床ともに多くの世界的業績が挙げられています。第2の柱は研究心・探究心にあふれた臨床医師の養成であり、患者の病態や問題点を高いレベルで察知して、組織・細胞レベルから分子レベルまで肉薄することができ、また従来の画一的なガイドライン式治療概念にとらわれずに新たな疾患概念や治療体系を打ち出すことのできる、まことの臨床家の育成をめざすものです。

平成16年度の新臨床研修制度の導入以来、日本の医療は崩壊の危機に瀕しています。特に臨床医の即成が一義的に図られた結果、大学院教育や医師による基礎医学研究は打ち捨てられようとしています。しかし、患者に求められるまことの医師は、前述の研究マインドに満ちた医師であり、そうでありたいというニーズは、厚生労働省の調査によれば研修医の3~4割に依然としてあります。そこで本学では、そのニーズにも応えるため社会人入学制度を臨床医学系分野にも導入しました。現在では、入学者の半数以上がこの社会人入学制度を利用しています。

すべてに格付けを求める市場原理医療の時代を迎えようとしていますが、その中で研究マインドを涵養し、その探究心の証としての博士号を取得している医師は、博士号の無い医師より、臨床家としても当然高く格付けされるようになります。そういう医療制度の流れを理解し、そのニーズに応える教育を行うことも、これからの本学医学研究科の理念です。

医学研究科の学習・教育目標

文部科学省の方針に基づき、平成20年度から教育内容や評価の透明性、カリキュラムの客観性、研修効果の検証可能性の確保といった、医学研究科教育のカリキュラム改革が行われました。その骨子は、これまで5系にわかれていた専攻を医学系1本に統合したこと、それにともない共通講義・演習を設置したこと、そしてコースワークを充実させたことなどです。

すなわち、これまで指導教員に任され、客観的な検証や評価を受けなかった教育課程に透明性を確保し、研修・研究の成果を検証可能なものにしていく端緒として、平成20年度より全専攻分野共通の必修科目として、社会人入学者にも受講可能な時間帯に共通講義・演習カリキュラムを新設しました。またDVDなどを利用することにより、遠距離から通学する社会人入学者に対する配慮も行っています。

文部科学省から選定された「がんプロフェッショナル養成プラン」におけるコースは、最初の5年間を無事終了して、平成24年度からは引き続き「7大学連携先端的がん教育基盤創造プラン」が採択され、平成29年度からは研究拠点形成費等補助金「7大学連携個別化がん医療実践者養成プラン」も始動しています。このプランでは、単位互換を含めて7大学の共同大学院教育コースを設置し、共通特論講義・演習も実施されています。このように社会的関心の高い特定医療技術と知識を大学院教育の中で習得させ、さらに博士号を取得させることは、例えば「『がん専門の医学博士』は、臨床家としても、臨床指導者としてもより優れた者である」という国民的評価を獲得させるという目標に合致し、今後いくつかの分野で同様のコースが設定されようとしています。