研究科長挨拶

基礎から臨床に及ぶ多様な薬学領域において、指導的立場で活躍し、薬学的観点から生命科学の進歩に貢献しうる人材の育成を

数年にわたる新型コロナ禍で、PCR検査や核酸(RNA・DNA)ワクチンなど研究や医療分野での専門用語が身近なものとなり、薬学研究への関心が高まっています。そして、社会はIPS細胞や、ゲノム編集をはじめとする最先端の研究がシームレスに医療へと還元されることを待ち望んでいます。日本有数の私立総合大学であり、常にイノベーションをめざした最先端の実学研究を展開してきた近畿大学では、このような社会の要請に応える実学を具現化することができるプロフェッショナルの育成を目指します。
近畿大学大学院薬学研究科では、医療薬学科(6年制)を基盤とする博士課程である「薬学専攻博士課程」と、創薬科学科(4年制)を基盤とする「薬科学専攻博士前期・後期課程」を設置し、薬学に関する独創的な研究を通して、卓越した洞察力と問題解決能力によって将来多様な薬学領域において指導的立場で活躍できる人材を養成・輩出することを理念としています。

「薬学専攻」では、薬剤師として医療に従事するだけでなく、研究者としての観点から新しい医薬品の研究や臨床開発、行政等幅広い分野で活躍するファーマシスト サイエンティストを輩出していくことを念頭に置いています。さらに、臨床薬学研究の実績を有する堺市立総合医療センター、近畿大学病院、近畿大学奈良病院、さらにはスギ薬局と連携し、連携大学院方式を採用することで、大学院生の臨床能力および識見の向上や高度な医療人の養成を試み、様々な分野の臨床研究に従事することのできる薬剤師を育成します。

「薬科学専攻」では、薬学的観点から生命科学の進歩に貢献しうる人材を育成し、将来大学や公的機関などアカデミアでは最先端の創薬研究を展開し、企業の研究者としては臨床開発の最前線に立てる人材の輩出を目指します。また、グローバルに活躍できる人材の育成のための取り組みとして、ネイティブスピーカーの教員による科学英語コミュニケーション先進演習や、英語による研究成果発表に関連する演習が設けられています。

歴史の過程で、人類がこれまでに遭遇した感染症のパンデミックはその時代の社会を大きく変貌させてきました。科学技術が発達した現在、人類の健康に直結するアカデミアでの薬学・医学領域の研究はこれまで以上に注目されています。そして、大学院生はアカデミアにおける研究の主役であり、Deep Techを醸成する担い手です。指導者と成果をあげる喜びを分かち合い、また時にはお互いの意見をぶつけ合いながら、薬学研究科でのサイエンスをエンジョイしていただけたらと願っています。

研究科長

藤原 俊伸
TOSHINOBU FUJIWARA
教授
薬学研究科長