1998(平成10)年度 海外留学帰国報告書

カルガリー大学(カナダ) 商経学部商学科 国際ビジネスコース 帰国報告書

私は、大学の3年次の1998年9月から1999年5月まで近畿大学商経学部国際ビジネスコースより派遣留学生としてカルガリー大学に留学しました。

専攻した科目は、International Marketing, Sales Force Management, Retail Marketingです。大学1年生であった1996年の夏に、カルガリー大学へは近畿大学のコーディネートで1ヶ月間の語学研修に参加していたので、なじみがありました。

その時は、学生寮で30名ほどの参加者と衣食住を共にしました。その語学研修では、大学だけでなく、いろいろな土地を訪れてキャンプしたり山登りにいったりと、とても楽しかったことを覚えています。海外で生活したことのなかった私にとっては、見るもの触る物全てがま新しく感じました。その時に、先に学部へ留学なさっていた先輩と知り合い、羨望の眼差しで見つめていたことを覚えています。

大学の入学当時はビジネス英語能力を測るテストであるTOEICも400点くらいで、英会話や英文法もままならないほどでしたが、コミュニケーションの1手段として英語を利用し、今後はビジネスの世界で活躍したいと考えていたこともあり、英会話の修得・留学を目指して勉強しました。留学して欧米の大学の学生と共にビジネス学科の授業を受けるには、TOEICでは最低900点ほどは必要です。400点から900点のレベルにあげるには、かなり集中して勉強が必要でしたが、大学生の時期は基本的には暇でしたから、英語の勉強に浸っていました。英米の大学に留学を希望する英語を母国語としない国の学生の英語能力を判定するためのテストはTOEFLです。

私は、先に知り合った先輩や先生方の応援に支えられ努力した結果、2年時の1998年1月にTOEIC850点、TOEFLで570点取得し、派遣留学の切符を手にしました。(カルガリー大学への留学の要件はTOEFL550点)英語力を短期間で一気につけたこともあり、やはり日本語を話す時のように流暢にセンテンスが浮かんでこなかったですし、TOEFLやTOEICの試験英語ではない生活にねざした英語は、今でも続けて勉強しなくてはいけないと思うほどです。

1998年の夏、カルガリーに到着した1日目、知り合いを介して見つけた部屋の大家さんの家族が暖かく迎えてくれましたが、楽しいはずの夕食会も完全に時差ボケで睡魔との戦いでした。 

初めての海外での生活。一人暮らしも初めてでした。家具やキッチン用品などは、備え付けの部屋だったので、初日から不自由なく生活できました。銀行口座を開いたり電話をつなげたりといったことは親切な大家さんの娘が手伝ってくれました。とてもありがたく感じたことを覚えています。

カルガリー大学への学生登録や授業登録を終えて、新入生や留学生用のオリエンテーションに参加し、少しずつ友人を増やし、着実に学生生活の基盤を作っていきました。

いざ授業へ。授業スタイルは、教授と学生の双方向なコミュニケーションをベースに進められ、1つのコースで1回2時間、週2回。1クラスで生徒は30名ほどでした。私は、4年生のクラスを受講したので私以外の生徒は皆、授業や課題には慣れているようでした。
授業では、予習した内容をラップトップPCのスクリーンに映し出し、レコーダーを持ち込んで授業を録音し、帰宅しては何度も聞いて何を言っていたかを理解するようにしていました。最初の方は、何を言っているのか聞き取れない場面も多々ありました。授業中や課題をチームで取り組んでいるときには、言いたいことが英語にできないなど、悔しい思いをしたことがあります。そういった時には、後でどういう表現が適切だったのかを必ず辞書で調べていました。

課題の内容もビジネスの現場に近いものが多く、コンサルティング会社になったつもりで提案書を書き上げたり、会社訪問をしたりと、わくわくするようなものが多かったです。前日の準備に熱が入りすぎて朝の6時ごろまで勉強し、会社訪問の待ち合わせの9:00に完全に眠ってしまっていて、すっぽかしたという苦い経験があります。
留学生活では、英語力、リサーチ力、グループワーク、コーディネート能力等、現在、社会人として働くことにおいて、非常に役立つ基礎が身についたと思っています。キャリア面だけでなく、すばらしい人々との出会いや思い出は、いまだ色あせることなく、今の私の生活に根付いています。

現在、外資系企業で1日に話す言葉の半分は英語で生活している日々ですが、やはり大学の時に留学した経験が活かせていると思っています。留学中に学んだ一つ一つのことと、今、自分で学んでいる一つ一つのことが、現在、私を形成していると思います。学ぶ機会はどこにいてもあることなのですが、より大きな意味で、異なる文化・視点で自分に磨きをかけていきたいのであれば、やはり留学してみることをお勧めします。