学びの特長

農学部の「研究力」を産業界へ研究成果を生かし、新しい未来をつくる

実社会と結びついた数々の独創的な研究を展開している近畿大学農学部。
「近大マグロ」や「近大マンゴー(愛紅)」をはじめ、商品として世の中に流通している研究成果も少なくありません。ここでは、企業と連携し、商品化に成功した研究を紹介します。

  1. 企画商品「川俣シャモ すき焼きセット」で復興支援

    企画商品「川俣シャモ すき焼きセット」で復興支援

    近畿大学 × 川俣町農業振興公社 × 福島県川俣町

    学生が主体となり特産品を生かした商品を企画・開発
    近畿大学農学部は、(株)川俣町農業振興公社、福島県川俣町との産官学連携により、「川俣シャモ すき焼きセット」を企画・開発しました。これは「“オール近大”川俣町復興支援プロジェクト」の一環として農学部の学生が中心となり行ったもので、川俣町の特産品である川俣シャモを使用しています。関連して各種のマーケティング調査やレシピの考案・イベントへの出店も行っています。「川俣シャモ すき焼きセット」は川俣町の道の駅での店頭販売やWEBサイトでの販売のほか、川俣町のふるさと納税の返礼品にも選定されています。
  2. 病気に強く、糖度の高い新品種メロン「バンビーナ」

    病気に強く、糖度の高い新品種メロン「バンビーナ」

    近畿大学 × 株式会社松井農園 × 株式会社近鉄リテーリング × 株式会社テンダーボックス

    生産数や栽培規模の拡大、製品化を試み、県の特産品をめざす
    高級品としてのイメージが強い「メロン」ですが、病気に弱く、栽培が難しいのが実情です。近畿大学農学部では、2016年4月から病害抵抗性選抜を繰り返し、病気(フザリウム病)に強く、果実中には機能性を有する成分を含み、糖度の高い新品種メロンを開発。品種名は、奈良県をイメージする「鹿」から、「バンビーナ:Bambina」と命名しました。今回、メロンそのものを商品化するとともに、メロン本来の風味を生かしたジェラート(無着色、無香料)を製品化。今後、なら近大農法(ICT農法)を利用してメロンの生産・栽培規模を拡大するとともに、他の農作物の製品化も実施。県の特産品の一つになることをめざします。
  3. イチョウ葉の有効成分を用いた商品を開発

    イチョウ葉の有効成分を用いた商品を開発

    近畿大学 × 大木製薬株式会社

    健康食品素材の最適な組み合わせに関する研究
    近畿大学農学部と大木製薬株式会社は、健康食品(機能性食品)素材の効果を最大限に高める食品素材の組み合わせに関して共同研究を行いました。イチョウ葉には脳の血流を良くする作用や記憶力を高める作用があり、「記憶力の維持」に役立つ機能性表示食品の素材として使用されています。今回の共同研究では、イチョウ葉にゴマ、ウコンおよびヒハツを組み合わせることにより、イチョウ葉の有効成分のひとつであるギンコライドAという成分が脳に届きやすくなることを発見しました。今回の研究結果から健康食品素材にも最適な組み合わせがあることがわかり、この研究成果を用いた商品の開発・製造・販売も行われています。
  4. 企業との共同研究から生まれた、虫除けスプレー

    企業との共同研究から生まれた、虫除けスプレー

    近畿大学 × 京都リフレ新薬株式会社

    天然由来成分のコパイバオイルに、昆虫の忌避効果を確認
    コパイバオイルは、南米原産のマメ科植物「コパイバ」の樹木から採れるエッセンシャルオイル(精油)のことです。近畿大学農学部と京都リフレ新薬株式会社の共同研究により、このオイルが蚊やゴキブリなど多くの昆虫に対して、忌避(虫を寄せつけない)効果があることが確認されました。コパイバオイルはFDA(米国食品医薬品局)や厚生労働省から食品添加物として認定されるほど、安全性が高いため、小さな子どもにはもちろん、食品関連機器や施設における防虫対策用としても注目されています。この研究成果では特許の取得も行われ、近年、さまざまな虫除けの製品として販売されています。
  5. 高純度の柿ポリフェノールを含有

    高純度の柿ポリフェノールを含有

    近畿大学 × 住江織物株式会社

    柿の機能性を生かしたサプリメント「柿ダノミ」を共同開発
    近畿大学農学部では住江織物株式会社とともに柿ポリフェノールに関する共同研究を実施しました。「平成28年度奈良県高付加価値獲得支援補助金ご当地食品開発事業」にも採択され、柿ポリフェノールの優れた機能性を生かした健康食品・サプリメントの開発に成功。会食などの付き合いが多い人、飲む人にお薦めのサプリメント「柿ダノミ」が誕生しました。その大きな特長は、奈良県産の柿から抽出した高純度の柿ポリフェノールを含有していることです。「柿ダノミ」は、奈良県を中心とした取扱い店舗やネットなどで販売されています。

    柿の豆知識
    「柿が赤くなれば医者が青くなる」との言い伝えがあるように、柿にはポリフェノールが豊富に含まれ、古来より民間療法に活用されています。

  6. タヒボに含まれる抗がん成分の研究

    タヒボに含まれる抗がん成分の研究

    近畿大学 × タヒボジャパン株式会社

    アマゾンの薬木・タヒボに含まれる抗がん活性成分の化学合成に成功
    タヒボとは、ブラジル・アマゾン川流域に自生し、古くから薬木として用いられてきた樹木です。現在、世界的に研究が進み、抗がん活性成分であるNQ801という化合物が含まれていることがわかっています。
    1本当たりの抽出量がきわめて少なく、また人工栽培も難しいため、量産化には化学合成しか方法がありませんでしたが、生命資源化学研究室では、このNQ801の実用的化学合成に成功。タヒボから微量しか得られない成分の大量供給を可能にする技術を確立しました。
    また、タヒボジャパン株式会社(大阪市)に基礎研究の成果を提供。同社では健康茶などを製品化、販売しています。現在はNQ801を活用した医薬品および機能性食品開発の可能性を追究。NQ801は既存の抗がん剤マイトマイシンC(抗がん性抗生物質)と比較しても効果が変わらないと同時に正常細胞への影響が少なく、副作用の軽減・解消も望めるなど、安全性の高さも特長です。また、タヒボには抗腫瘍活性以外にも抗酸化作用、抗炎症作用や内臓脂肪蓄積抑制効果のほか、骨吸収阻害物質も含み、骨粗しょう症にも有効なことが明らかになっています。機能性食品としての開発が進めば、がん予防のほか、さまざまな健康効果をもつサプリメントなどの製品化が期待されます。