学部長挨拶

農学部としてのブランド、らしさとは何か?
常にこれらの問題を問いかけながら、
皆様に愛される農学部を目指して取り組みます。

 近畿大学農学部は、奈良市北部の緑豊かな丘陵地帯の一角にキャンパスがあります。平成元年に大学本部(東大阪)から移転し、現在では、キャンパス内の木々、草花も生い茂り、自然豊かな環境になっています。まさに自然に囲まれたこのキャンパスでは、四季折々の季節感を満喫しながら、勉学・研究に励むことができます。

 近畿大学では『実学教育』と『人格の陶冶(とうや)』を建学の精神とし、教育の目的に『人に愛され』、『人に信頼され』、『人に尊敬される』を掲げています。農学部では、この精神を踏まえて『チャレンジ精神を持ち、心豊かで社会に貢献できる人材の育成』を教育理念とし、そのため教育目標として、社会のニーズに対応した専門知識と技術の習得、問題解決力の向上、豊かな倫理性・人間性の養成を掲げています。

 近年の地球規模での急速な人口増加と産業の高度化、地球温暖化、砂漠化などの環境変化、化石燃料の枯渇に伴うバイオ燃料の生産、これらに伴う食糧生産・供給への影響など、様々な問題が毎日のようにマスコミを賑わしています。さらに、食糧自給率40%の我が国では、農作物の輸出入の関税にも関わるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加も、これからの農業経営のあり方などに、大きく影響を及ぼすものと思われます。一方、我が国を含む先進国ではかつて人類が経験したことのない飽食の時代に入り、肥満が急速に増加し、高血圧、糖尿病など生活習慣病が蔓延ともいえるような広がりをみせています。さらに、我が国では65歳以上の人たちが占める割合(高齢化率)は、総人口の25%以上となり、世界に類を見ない超高齢化社会に突入し、年金、高齢者医療負担などの問題も毎日ニュースとなっています。

 このような多方面からの視点で、我が国を含む世界の国々が抱える諸問題、そして我々が生きるということに関わるすべての問題を、「環境」「生命・健康」「食糧」というキーワードで解決し、“宇宙船地球号”の新たな未来を切り開く学問が「農学」です。 農学部では、産業的利用をはじめ、社会的な応用を意識した基礎から実学までの研究、すなわち基礎研究-応用研究-実学研究を行っています。事実、これまで農学部では、世界初のクローン牛の誕生、クロマグロの完全養殖、最近では、静電場スクリーンによる害虫、花粉などの防御、ナマズの蒲焼き、ES/iPS細胞と異なる新規の多機能性細胞を樹立、ポリエステルの培地を使った植物栽培、育児経験のない野生イルカが里親として子育てをすることの発見、高産生の植物の作出、そしてマイスター認定制度によるアグリビジネスの現場で活躍する人材の育成など、多く成果を世の中に発信しております。さらに、基礎から実学までの大型の国家プロジェクトにも幾つか採択され顕著な成果が出ており、松茸の人工栽培への挑戦も始まっています。
 教育においては、体系的学習を通して、環境・生命・食糧に関連する分野での問題点を解決する能力、論理的な記述力、口頭発表力、討議などのコミュニケーション能力を身につけ、心(目的意識、モチベーション、知的関心など)、技(勉学、学習体験など)、体(健全・健康な身体など)、すなわち 「心・技・体」のバランスの取れた主体性、協調性のある自己を確立し、グローバルな視野を持って社会に貢献しようとする人材を育成しています。

 農学部としてのブランド(個性化、差別化)、農学部らしさとは何か? 常にこれらの問題を問いかけながら、農学ならでは魅力を発信しつづけるための努力、すなわち近畿大学農学部としてのアイデンティティを象徴するような研究・教育を行なうことで、受験生に“選ばれる”、在校生に“愛される”、卒業・修了生に“喜ばれる”農学部を目指して取り組んでいきます。

 皆さん!近畿大学農学部で“農学の力”を発揮して、この宇宙船地球号をレスキューするために、一緒にチャレンジしませんか!

重岡 成 農学部長 バイオサイエンス学科教授 農学博士
重岡 成
農学部長
バイオサイエンス学科教授
農学博士

研究テーマ

植物分子生理学(光合成生物の環境ストレス応答・耐性と炭素代謝の分子機構の解明および分子育種への応用)