学部長挨拶

入学して良かったと思える理工学部に

私は、1987年(昭和62年)4月に近畿大学に奉職して以来、31年の長きに亘り理工学部で教育・研究に携わって参りました。この間、私を取り巻く環境はもちろんのこと、理工学部、そして大学全体の状況も大きく変化してきました。バンカラなイメージの強かった大学は、おしゃれなイメージを持たれるまでに変貌し、入学する学生さんの偏差値はどんどん上昇し、世界に誇れる総合大学となりました。

理工学部は、近畿大学における理系学部の中では最も歴史が古く、規模の大きい学部の一つであり、各界に多くの優秀な人材を輩出し続けております。現在は、理学と工学の基幹分野を全て備えており、理学科(数学コース・物理学コース・化学コース)、生命科学科、応用化学科、機械工学科、電気電子工学科、情報学科、社会環境工学科の7学科より構成され、約4000名の学生が人生で最も輝く4年間を過ごしております。

希望、充実そして満足へ

理工学部には、毎年、約1000名の新人がそれぞれの希望を胸に入学します。世の中の役に立つものを作る技術者になりたい、学術的新発見を目指した研究者になりたい、教師や公務員等になりたいなど、希望は色々です。その希望を叶えるために、理工学部では単に授業を通して専門知識や技術を教えるだけでなく、自律的に考える力・自己表現する力・そして実践する力を身につけていくためのカリキュラム(教育プログラム)を用意しています。しかしながら、希望も色々であるように、学生生活の過ごし方も色々であり、途中で本来の希望を断念して、妥協する結果となる場合も少なくありません。

今、大リーグで活躍している大谷翔平選手が高校1年の時に作り上げた目標達成用紙(マンダラート)が凄いと一時期評判となりました。大学生活において本来の希望を断念して、妥協する結果となるケースは、明確な目標がない人に多く見られるように思います。そこで、理工学部では、1年生の前期に、大谷選手を参考とした各人の目標達成用紙(マンダラート)を作成する科目を設定したいと考えております。そして、その目標を達成するためにはどのような項目が必要なのかを明確にし、必要な項目を修得するには4年間に学ぶ授業等がどのように係わってくるのかを明確にする訳です。これにより、目的意識が明確となり、理工学部で学ぶモチベーションの向上に繋がると確信しております。さらに、モチベーションの向上に役立つと考えている施策を検討しております。すなわち、出来るだけ早い時期に先生方が主宰する研究室との接触を可能とするようなシステムを確立しようと考えております。理工学部の先生方は、多種多様な専門分野で世界と対等に勝負のできる実力持ち主ばかりです。従って、研究室と積極的に接触することにより、最先端の研究に触れることができ、それを切っ掛けにそれまでボンヤリとしていた目的(未来予想図)がハッキリとしてくる可能性が大いに期待できると考えます。その上で、各人の就学を中心とした学生生活を進めていけば、より効率的に知識やスキルが身に付くことになり、充実した大学生活を送れるようになると考えています。そして、上級学年となり、実際に自分が希望する研究室に所属し、卒業研究を通してさらに実力を蓄え、希望する進路へと進めるようになります。ただし、希望した研究室に行けるかどうかは、それまでの成績が大事になることは忘れないで下さい。

近畿大学には、理工学部のメインの建物である38号館の1階に共同利用センターが設置されております。卒業研究を行う際には、同センターにある最新の大型測定装置を使って研究を進めることができ、科学技術のスキルアップを図ることができます。また、中央図書館や研究室のパソコンを通して殆どの理学・工学関係の専門誌・学術雑誌を読むことができますので、専門知識の修得・向上を常に行うことのできる環境も整っています。このように理工学部は、基礎教育は勿論のこと、最先端の研究を行うことのできる素晴らしい環境を提供しております。そして、皆さんの努力の結晶である研究成果は、世界の著名な学術雑誌などを通して、国内外に広く発信されています。

さらに、理工系の学部の研究室には、大学院生もいますので、担当教員だけでなく先輩の指導を受けることもできます。そして、自分が大学院生になった場合には、後輩の指導を行うことになります。それは、研究のことだけでなく、日常生活のことについても色々とコミュニケーションをとることになりますので、人と人の繋がりがより強くなってまいります。従って、研究室での生活は「生きる力」を身につける最適の場所になっているとともに、実社会生活(会社勤めをするようになってからの生活)を円滑に送るための助走期間でもあると思っています。また、研究室で過している期間は、学会等で研究成果を発表し、他大学の人々や研究に触れる機会も多くなり、その中で、近畿大学理工学部で学ぶことの自信が芽生え、そして学生生活が充実し、「入学して良かった」と言う満足へと変わっていく訳です。

理工学部の学生は未来を切り開いてく力を十分に備えております。その力を伸ばし、開花させる助けをするのが教員の務めです。人を育て、その成果が現れるのには、長い時間がかかります。今日・明日にできるものではありません。しかし、若い皆さんが未来を切り開いていくことは、厳然たる事実です。理工学部もこのことを忘れず、近畿大学の建学の精神である「実学教育」と「人格の陶冶」を胸に、社会に貢献する人材育成に全力を注いでいきます。共に、「入学して良かったと思える理工学部に」して行きましょう!

2018年11月
理工学部長 山口 仁宏

学部長

山口 仁宏
YOSHIHIRO YAMAGUCHI
理工学部長