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放射性セシウム除去コンクリートブロックの開発~困難な汚染水の除染活動に新たな打ち手~ 近畿大学産業理工学部生物環境化学科

2015.07.13

  • 社会連携

荒川が開発したコンクリートブロック(20cm×10cm×6cm )

近畿大学産業理工学部(福岡県飯塚市)生物環境化学科教授・荒川 剛は、高い吸水性および放射性セシウムの除去力を有する、新しいコンクリートブロックを開発しました。

【本件のポイント】
●高い吸水性・放射性セシウム除去力を持つコンクリートブロックを開発
●ニッケルやコバルトの化合物を加えることで、放射性セシウムの除染率が飛躍的に上昇
●形状がブロックであるため、簡単に効率の良い除染が可能

【本件の概要】
今回、近畿大学産業理工学部教授・荒川 剛は、一般のコンクリートブロックにゼオライト(※1)と呼ばれる物質を添加し、より高い吸収性を達成しました。ゼオライトは、不要なアルミサッシやアルミホイルを破砕した産業廃棄物であるアルミドロス(※2)と、石灰岩を合成することによって得られる物質であり、安価に入手することが可能です。

これにニッケルやコバルトなどのフェロシアン化物(※3)を加えたものを用いると、放射性セシウムの残留率が急激に低下、90%を上回る除染率を持つことが確認されました。

本コンクリートブロックを、高濃度に放射能汚染されている地域(ホットスポット)や、汚染水を含む湖沼などに設置することで、簡単で効率の良い除染が期待できます。また、近畿大学が全学をあげて推進している「『オール近大』川俣町復興支援プロジェクト」の一環としても、本研究成果を応用できるものと考えています。なお、本研究成果については福岡ILB株式会社と共同で特許出願しております。

(参考資料)
【用語補足】
(※1)ゼオライト
   アルミナとシリカの複合化合物。規制的に細孔が存在する。
(※2)アルミドロス
   産業廃棄物の一種。
   アルミサッシやアルミホイル(車)の回収後、シュレッダーにかけた破砕後のクズ。
(※3)フェロシアン化物
   ヘキサシアニド鉄(II)酸の塩。放射性セシウムの遮光効果を上昇させる。

【“オール近大”川俣町復興支援プロジェクトについて】
近畿大学が、13学部48学科を擁する総合大学としての研究力を生かし、総力を挙げて東日本大震災に伴う原発事故により一部が避難指示区域に指定された川俣町の早期復興を支援するために立ち上げた学部横断プロジェクトです。

地場農産業の活性化や教育・文化の育成などの「復興支援」と、除染や健康管理など被災からの「再生支援」の二面から、町の方の意見を取り入れながらサポートしています。

【福岡ILB株式会社について】
本社 〒820-1103 福岡県鞍手郡小竹町大字勝野3132番地
設立 平成24年(2012年)9月25日
代表取締役社長 天野 重治
資本金 900万円
従業員数 28人 ※平成27年5月現在
事業内容
 インターロッキングブロック製造販売、土木用積みブロック製造販売、舗装工事業

関連URL:http://www.kindai.ac.jp/rd/social-activity/earthquake-east-japan/all-kindai.html