近大理工通信

令和3年度 近大理工通信(第1号)

受賞・入賞

鈴木 晴 講師が日本熱測定学会において2020年度奨励賞を受賞されました

理学科化学コース 鈴木晴 講師 の研究成果「低温結晶中における分子の量子的回転と配向秩序化に関する研究」が、日本熱測定学会の2020年度奨励賞に選ばれました。10月27,28日にオンラインで開催された第56回熱測定討論会(熱測定オンライン討論会2020)にて、受賞講演を行いました。

(理学科化学コース 神山 匡)

理学科化学コース 森澤勇介准教授が第36回近赤外フォーラムにおいて 2020年度NIR Advance Awardを受賞

理学科化学コースの森澤勇介准教授の研究成果「溶液中の分子間相互作用による近赤外吸収強度の増強・減衰効果の研究」が近赤外研究会より2020年度NIR Advance Awardに選ばれました。授賞式及び受賞講演が2020年11月25・26日にオンライン開催された第36回近赤外フォーラムにて行われました。同賞は、当該年度および過去2~3年間に報告された近赤外分光法に関する顕著な研究業績(研究論文、学位論文、実用化事例など)を対象とします。受賞対象となった研究は水素結合を受けた分子に生ずる近赤外吸収強度の増大・減少効果の倍音次数に注目した実験・理論の研究を表した2報の論文です[1,2]。吸収強度は分光分析を用いた定量分析における基本的情報であり、本研究は非破壊定量分析に広く応用されている近赤外分光法においてその高い精度の解析法開発に欠かせない研究です。森澤准教授は今後も分子間相互作用を敏感に反映する近赤外分光法に注目して研究を続けたいとのことでした。
 [1] M. J. Schuler, T. S. Hofer, Y. Morisawa, Y. Futami, C. W. Huck, Y. Ozaki, Chem. Phys. Phys. Chem., 2020, 22, 13017 – 13029.
 [2] Y. Morisawa, A. Suga, Spectrochim. Acta, A, 2018, 197, 121 – 125.

(理学科化学コース 若林 知成)

応用化学科 岡 研吾講師が「第75回 日本セラミックス協会 進歩賞」、ならびに、「第45回 粉末冶金協会 研究進歩賞」を受賞

応用化学科 岡 研吾講師は第75回日本セラミックス協会進歩賞(研究題目:アニオン複合化物におけるアニオン秩序配列に基づいた機能開拓, 2021年)および第45回粉末冶金協会研究進歩賞(研究題目:巨大負熱膨張材料の研究, 2020年)を受賞しました。粉末冶金協会研究進歩賞は、東京工業大学 東教授らとの共同受賞です。日本セラミックス協会進歩賞は、複合アニオン化合物、特に酸フッ化物に関する新物質探索と機能開拓に関する研究業績に対して与えられたものです。粉末冶金協会研究進歩賞では、相転移現象を利用した従来材料を凌駕する負熱膨張物質の開発に関する研究業績に対して与えられたものです。


(応用化学科 松井 英雄)

機械工学科 藤田 隆 准教授 2019年精密工学会沼田記念論文賞及び工作機械技術振興賞・論文賞を受賞

機械工学科准教授 藤田 隆は、精密工学会の沼田記念論文賞および工作機械技術振興賞・論文賞を受賞しました。本論文は、Precision Engineering Vol.57 (2019), pp.95-103に掲載されたもので、論文タイトルはDevelopment of endpoint detection using optical transmittance and magnetic permeability based on skin effect in chemical mechanical planarizationです。本論文は、半導体素子の銅配線形成における化学機械的平坦化研磨プロセスにおいて、光透過率および表皮効果に基づく渦電流を利用した新しい研磨終点検出技術に関する内容です。本論文では、銅膜の研磨過程で、表皮効果による渦電流の変化特性と、銅膜への光透過の特性を明らかにするとともに、両者の組み合わせでより高い精度で検出することを実証した独創性の高い論文で、計測分野の論文として工学的、工業的に価値が高いと判断されました。令和3年8月19日に、1年越しに沼田記念論文賞受賞記念講演会が開催され、記念品として株式会社ミツトヨより、デジタルノギスが謹呈されました。


(機械工学科 藤田 隆)

電気電子工学科 橋新裕一教授 レーザー学会フェローに認定

 

2020年度、理工学部電気電子工学科の橋新裕一教授が、一般社団法人レーザー学会からフェローに認定されました。2021年5月31日(月)総会・授賞式(オンライン)にて、会長から認定証が授与されました。
レーザー学会ではレーザーとその関連分野技術の見識に優れ、責任ある立場で長年にわたり指導的役割を果たし、社会および本会の発展に顕著な貢献をなした者にレーザー学会フェローの称号を与え、もって、会員の地位向上・国際活動をより円滑にし、あわせて本会のより一層の活性化をはかることを目的として、2015年度からフェロー制度を設けています。フェローおよび上級会員3名の推薦により、称号審査委員会にて審査し、理事会で承認された者にフェローの称号が授与されます。
橋新裕一教授は、レーザー医学・医療分野への貢献、光・レーザー安全の啓発活動および標準化作業による社会貢献が評価され、フェローの認定に至りました。

(電気電子工学科 松谷貴臣)

情報学科 波部 斉 准教授が電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ活動功労賞を受賞

情報学科の波部斉准教授が電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ活動功労賞を受賞しました。同学会の英文論文誌編集委員として、同論文誌の編集業務に貢献したことが評価されたものです。

(情報学科 波部 斉)

社会環境工学科 中島晃司助教が前田記念工学振興財団山田一宇賞(土木分野)受賞

社会環境工学科の中島晃司助教が、令和2年度前田記念工学振興財団山田一宇賞(土木分野)に選ばれました。本工学賞は、前田工学賞として応募された学位論文の中で、新規性・独創性に富む論文に対して授与されるものであり、中島助教の学位論文「東部南海トラフにおけるメタンハイドレート胚胎土の力学特性および弾粘塑性構成モデルに関する研究」が選ばれました。
エネルギー資源の大部分を海外からの輸入に依存している我が国にとって、日本近海で存在が確認されているメタンハイドレートは、新しいエネルギー資源として注目を浴びています。メタンハイドレート堆積地盤の力学特性を明らかにするために、受賞論文では、深海底地盤の温度・圧力環境を再現できる実験装置内でメタンハイドレートを土の中に人工的に生成し、種々の力学試験を行っています。また、実験より得られたデータに基づいて、数学モデル(構成モデル)を開発しています。提案する構成モデルは、メタンハイドレートの生産時に懸念されるさまざまな地盤工学的な問題を予測するのに適用できると考えられます。
現在は、モデルの高度化に向けて新たな理論の導入や、シミュレーションプログラムの開発に取り組んでおり、益々の活躍が期待されます。

(社会環境工学科 河井克之)

社会環境工学科 高畠知行准教授が文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞

社会環境工学科の高畠知行准教授が、令和3年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞しました。文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者を「科学技術分野の文部科学大臣表彰」として顕彰しています。若手科学者賞は、我が国の科学技術分野において、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者に対し贈られるものです。
高畠准教授は、2011年東北地方太平洋沖地震津波、2018年インドネシア・スラウェシ島津波、2018年インドネシア・スンダ海峡津波など、過去に発生した津波の現地被災調査の経験を元に、津波の陸上浸水の過程と人々の津波避難時の行動を高精度に予測可能な数値解析技術を開発しました。将来の津波被害の低減に大きな貢献が期待される技術であり、また海岸工学、流体力学、防災工学や災害心理学など、分野の異なる様々な知見を融合させた研究成果であることが高く評価され、本賞の受賞に至りました。


(社会環境工学科 河井克之)