社会環境工学科の学生2名と総合理工学研究科の学生1名の研究成果がNature Portfolioの学術誌『Scientific Reports』に掲載されました。
2026.08.21
- 研究
本研究は、近畿大学理工学部社会環境工学科(当時)の乾 継利さんと小田 瑞樹さんが主体となり、河川水を継続的に調査し、近畿大学大学院総合理工学研究科のMizanur MD Rahmanさんがそのデータを引き継いで取りまとめたものです(いずれも指導教員:社会環境工学科 松井 一彰 教授)。データ解析では、龍谷大学先端理工学部/龍谷大学生物多様性科学研究センターの三木 健 教授に監修いただきました。
大阪市内を流れる都市河川を対象に、大腸菌と非大腸菌性大腸菌群の濃度および薬剤耐性率を比較した結果、大腸菌の濃度は非大腸菌性大腸菌群の約2〜3%と少ない一方、薬剤耐性率は大腸菌で高いことが分かりました。大腸菌のアンピシリン耐性率は平均23.1%、テトラサイクリン中間耐性率は12.3%であったのに対し、非大腸菌性大腸菌群ではそれぞれ3.7%、0.8%でした。この結果は、大腸菌が糞便汚染の指標に加え、都市河川における薬剤耐性の状況を把握するための感度の高い指標となる可能性を示しています。一方、非大腸菌性大腸菌群は存在量が多く、薬剤耐性菌の絶対量を評価するうえで重要な対象です。大腸菌は代表的なモデル生物ですが、自然環境での存在様式や動態には未解明な点が多く、その動きを明らかにすることは、環境中における薬剤耐性菌の広がりを理解する手がかりになると期待されます。
論文掲載: The potential role of Escherichia coli as an indicator of environmental antimicrobial resistance in an urban river in Japan. Scientific Reports 16: 25501.
DOI: https://doi.org/10.1038/s41598-026-56659-3
左:調査対象とした都市河川
右:培地上で計数された大腸菌(青色)と大腸菌以外の大腸菌群(赤紫色)のコロニー
