エネルギー物質学科 池田 篤俊 准教授の研究課題が「AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」に採択されました
2026.07.09
- 研究
理工学部エネルギー物質学科 池田 篤俊 准教授の研究課題「ローカルLLMによるパーソナライズドコミュニケーション支援基盤の構築とシステム評価手法の検討」が、文部科学省「AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」に採択されました。全体の採択率は2.9%と非常に厳しい中での採択となりました。
【採択された研究課題】
研究課題名:ローカルLLMによるパーソナライズドコミュニケーション支援基盤の構築とシステム評価手法の検討
研究代表者 :池田 篤俊
※SPReADとは・・・AIの利活用による科学研究の高度化や加速化につながる新たなアイデアへの挑戦を支援する文部科学省の事業で、近年のAIの急速な進展と社会への浸透を背景に今年度から始まりました。大学研究者をはじめ、学生や民間研究者が対象で、分野も問いません。第1回公募には全国787の大学・機関から1万5868件の応募があり、456件が採択されました。
池田准教授はこれまでに高齢者の運動支援を目的として、LLMを用いたパーソナライズ応援システムの研究を進めてきました。このシステムは、利用者の運動状況や過去のやり取りに応じて、画一的ではない応援の言葉を生成し、運動中の心理的な支援につなげることを目指したものです。2025年1月には、国際会議「2025 IEEE/SICE International Symposium on System Integration(SII 2025)」において、「Development of a Personalized Cheering System using a Large-scale Language Model」として関連成果を発表していました。
今回採択された研究では、これまでの「利用者を応援するAI」からさらに発展し、医療従事者が利用者や家族とのコミュニケーションを円滑に進めるための支援基盤の構築を目指します。リハビリテーションやデイケアの現場では、利用者の在宅での様子、生活上の困りごと、運動を続けにくい理由、家族の不安や要望など、支援に重要な情報が日常会話の中に含まれています。一方で、よりよい医療支援のために、このような情報を毎回丁寧に聞き取り、整理することは、医療従事者にとって大きな負担となっています。
本研究では、ローカル環境で動作するLLMを用いて、利用者や家族との対話から得られる情報を個別化して収集・整理し、医療従事者が次の会話や観察、介入方針の検討に活用しやすい形で提示するシステムを開発します。重要なのは、AIが医療従事者の判断や対話を置き換えるのではなく、医療従事者がよりよく利用者を理解し、本人や家族との会話を深めるための「きっかけ」を提供する点です。
また、システムそのものの開発に加えて、AI支援システムの有効性をどのように評価するかについても検討します。具体的には、システム利用ログ、会話ログ、運動ログ、記録文書などをもとに、医療従事者がAIから提示された情報をどの程度活用しているか、利用者がシステムにどの程度信頼を寄せているか、施設内のコミュニケーションがどの程度活性化しているかを評価する方法の確立を目指します。詳細な解析手法は今後の研究の中で検討しますが、AIで収集したデータをAIで分析することで、従来は把握しにくかったコミュニケーション支援の効果を定量的に捉えることを目指します。
参考文献
1. N. Okamoto and A. Ikeda, "Development of a Personalized Cheering System using a Large-scale Language Model," 2025 IEEE/SICE International Symposium on System Integration (SII), Munich, Germany, 2025, pp. 352-356, doi: 10.1109/SII59315.2025.10871079.
2. 高齢者の運動における大規模言語モデルを利用した応援による心理的効果, 岡本和花, 池田篤俊, ロボティクス・メカトロニクス講演会2025, 1P1-J01, 2025. 6.
