LINEを使った販売促進で地元農作物の付加価値向上をめざす 学生制作のシステムの実証実験をJA「とれたて元気市」で開始
2019.11.28
- 工
当システムへの協力農家を募るための学生による生産者への説明会の様子
【本件のポイント】
●LINEのBot機能を使った、生産者と消費者を繋ぐ農作物販売促進システムを学生らが作成
●ITに不慣れな生産者や消費者にも使いやすくLINEやfacebookを基盤にした新システムに改良
●地元生産者の農作物の付加価値を高め地産地消を促進することで地域貢献をめざす
【本件の概要】
この度、JA広島中央とJA全農ひろしまとの共同運営の農産物直売所「とれたて元気市 となりの農家店」で新たに実証実験を行う「VEGETOMO(ベジトモ)」は、LINEのBot機能を使った、生産者と消費者を繋ぐ農作物販売促進システムです。大きくは「(1)商品を探す・比較する」、「(2)料理レシピ・野菜の使い方を探す」、「(3)閲覧数の多い生産者ランキングを知る」、「(4)イベント情報を得る」という機能があり、消費者が自身のスマートフォンで店舗外でも情報閲覧ができる仕組みです。生産者にとって情報発信手段となり、消費者にとっては商品選択基準が得られます。また、希望の生産者には、生産者のfacebookへと誘導する仕組みも追加し、生産者と消費者の交流の場をつくることも新たな目的としています。
生産者ごとの野菜の比較は、1つの野菜に対し多くの地元生産者の農作物を扱っているJAの販売所ならではのシステムです。今回は閲覧ログデータの収集ができるように設計しているため、店舗はシステム導入の効果を分析することで、情報提供により農作物の付加価値向上に繋がったかなどを明らかにすることができます。最終的には、生産者の役に立つ情報として、どの程度正確な売り上げ予測などが行えるかの調査を行うことも目的としています。
【本件の背景】
近畿大学工学部情報学科 教育情報システム研究室では、手間暇かけて育てた農作物のアピール方法が分からない生産者と、なるべく地元の農作物を購入したいがどれが良いか判断基準がない消費者を繋ぎ、地元農作物の販売促進を支援するシステムの開発を平成29年(2017年)から行っています。平成30年(2018年)に制作した「Vegescan(ベジスキャン)」というシステムは、「となりの農家 高屋店」で1か月間の実証実験を行い、約300件の利用がありました。「Vegescan」では、消費者は農作物に貼りつけられた専用バーコードを店舗の専用タブレット端末にかざすことで、店舗内で情報を閲覧する仕組みでした。結果、生産者からはアピールの場ができて良かったという声の一方、出荷する野菜一つ一つに専用バーコードを付ける手間がデメリットでした。また、消費者からは、生産者のおすすめの食べ方を知ることができて良かった、使い方の分からない珍しい野菜の食べ方が分かったといった声の一方、レシピ情報は自宅で見たいという要望やバーコードのスキャンが難しいといった声が寄せられました。これらの課題から新たに制作したシステムが「VEGETOMO(ベジトモ)」です。消費者にとっては店舗で野菜を1点ずつスキャンしなくても一度LINE登録すれば自宅でいつでも新しい情報を閲覧でき、さらにBot機能にすることにより会話感覚で情報を取得できる操作性の良さを実現しました。
【開催概要】
日 時:令和元年(2019年)12月4日(水)~12月20日(金)9:00~18:00
場 所:とれたて元気市 となりの農家店(広島県東広島市西条町寺家7957-1)
JR西条駅から車で約10分。敷地内に駐車場あり。
お問い合わせ:JA広島中央 総務部総合企画課 広報担当 黒川 TEL(082)424-1798
【関連リンク】
工学部 情報学科 博士(情報科学) 加島 智子(カシマ トモコ)
https://www.kindai.ac.jp/meikan/422-kashima-tomoko.html