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農学部の学生が日本の伝統的な食品保存・加工技術を継承 「ふなずし」の本漬け体験実習を実施

2016.07.25

昨年の実習の様子

近畿大学農学部(奈良県奈良市)水産学科水族環境学研究室の学生は、卒業研究ならびに食品微生物学の講義の一環として、平成28年(2016年)7月28日(木)、29日(金)、奈良キャンパスにて、ふなずしの本漬け体験実習を行います。

【本件のポイント】
●学生らが日本の伝統的な食品保存・加工技術を学ぶ
●ふなずしの発酵過程の観察を通じて、有用微生物(主に乳酸菌)の活用方法を模索
●ふなずしの加工を体験し、日本の伝統的な食文化の継承を図る

【本件の概要】
「ふなずし」は琵琶湖周辺で作られる「熟(な)れずし」の1種で、平安時代の書物にも登場する歴史のある発酵食品です。一年で最も暑い夏の日に琵琶湖の固有種である「ニゴロブナ」をご飯と一緒に桶に漬け込み、酸素の無い環境下で乳酸菌等を爆発的に増殖・発酵させることで、腐りやすい生魚を冷蔵・冷凍技術無しで加工・貯蔵することができます。
今回は、琵琶湖産の塩きり(塩漬け)ニゴロブナを乾燥させ、ご飯を詰めた後、日のよく当たる屋上に設置した桶の中で発酵させるという「本漬け」の作業に学生が取り組みます。ふなずしの発酵の過程を調べることで、日本の水産業や伝統的な食品保存・加工技術についての知識を深めるだけでなく、乳酸菌などの有用微生物の新たな活用方法を模索します。また、今回漬けたふなずしは、本年度(時期未定)に滋賀県で行われる「手づくり鮒ずし品評会(主催:あめのうお倶楽部)」に出品し、その品質が審査されます。

■日  時:平成28年(2016年)7月28日(木)13:00~17:00
                 29日(金)10:00~13:00
■場  所:近畿大学奈良キャンパス
      (奈良県奈良市中町3327-204、近鉄奈良線「富雄駅」からバス10分)
■対  象:近畿大学農学部水産学科2~4年生(50人)、大学院生(2人)

【本件の背景】
「熟れずし」とは、穀類(主に米飯)を漬け床としてつくった魚や肉の漬物のことです。その一種である滋賀県の「ふなずし」は、お腹の調子が悪い時に薬として食べられることもあった滋養食です。
このような薬効が期待される要因の1つは、ニゴロブナと一緒に漬けられる米飯に増殖する乳酸菌の作用だと考えられます。水族環境学研究室では、ふなずしの熟成・発酵過程で発生する乳酸菌などの有用な微生物を分離して、その能力を調べています。
そこで、有用な乳酸菌の研究と日本が誇る伝統的な食文化とそれを支える先人の知恵の 伝承を目的として、平成 25 年(2013 年)からふなずしの本漬け体験実習を実施していま す。教員および学生は、滋賀県水産試験場でのふなずし漬け講習会や、同試験場の講師を 招いた奈良キャンパスでの講習会などに取り組んできました。

関連URL:http://nara-kindai.unv.jp/