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未熟児網膜症の治療で国際貢献 近畿大学医学部附属病院・医学部堺病院

2016.05.13

近畿大学医学部附属病院(大阪府大阪狭山市)は、未熟児網膜症の治療のためインドネシアの小児患者1人(女児/生後4カ月)を受け入れます。平成28年(2016年)5月18日(水)に医学部堺病院(大阪府堺市)眼科部長・教授の日下俊次が手術・治療を行います。

【本件のポイント】
●未熟児網膜症手術の世界的権威である日下俊次に受け入れ要請があり、来日・治療が実現
●未熟児網膜症は十分に治療できない国が多く、発展途上国における失明の主原因
●関西国際空港クリニックと連携して海外患者の受け入れ体制を確立し、国際貢献をめざす

【本件の概要】
未熟児網膜症とは、低出生体重児にみられる病態で、網膜血管の未熟性がもとで網膜血管が正常な発達を逸脱することによって発生します。悪化すると網膜剥離をおこして最悪の場合失明につながり、発展途上国では失明の主原因と言われています。

未熟児網膜症手術の世界的権威である日下俊次は、国内外からの患者様を広く受け入れており、インドネシアの患者様に関しては平成26年(2014年)に続き2度目の要請を受けて今回の治療が実現に至りました。

近畿大学医学部は、関西国際空港内にもクリニックを設置し、医師と看護師を常駐させています。その関西国際空港クリニックと連携を取りながら、今後さらに海外の患者様の受け入れ体制を確立し、国際貢献をめざします。

【治療スケジュール】
5月16日(月)医学部堺病院と附属病院にて患者様が外来受診
5月17日(火)医学部附属病院に入院
5月18日(水)手術
5月19日(木)退院予定
(手術の状況、患者様の容態等によってスケジュールが変更になる場合があります)

【本件の背景】
未熟児網膜症の重症化を防ぐためには、(1)小児科医(新生児科医)の適切な管理、(2)眼科医による適切な時期の診察および必要な患者への治療、の2点が重要と言われていますが、インドネシアでは上記の2点の環境が不十分であり、重症化するケースが多く見られます。また、症状が軽度の段階での手術はインドネシア国内で行うことができますが、症状が重症化している段階では手術成績が悪くなっています。

未熟児網膜症手術の世界的権威である日下俊次は国内外からの患者様を広く受け入れており、インドネシアからは平成26年(2014年)9月に未熟児網膜症患者2人(男児生後9カ月・女児生後5カ月)を受け入れて治療にあたりました。その実績が評価されて、インドネシアの医師から2度目の要請を受け、今回の患者様の来日と治療が実現しました。

【医師紹介】
医学部堺病院眼科部長・教授 日下俊次(くさかしゅんじ)
所   属:近畿大学医学部堺病院 眼科
学   位:博士(医学)
専門分野 :網膜硝子体疾患、白内障
研究テーマ:網膜硝子体疾患の外科的治療
症例手術数:硝子体手術300~400件/年
      (うち未熟児網膜症を含む小児例約60~80件程度)白内障手術約700件
コメント :
子どもの目を預かることの重要性をいつも感じています。未熟児網膜症に対する硝子体手術は施行できる医師が少なく、海外からの問い合わせも増え続けています。患者様が普通の生活を送れるように、少しでも良い結果を出せるよう全力をつくしたいと思います。

【患者病状】
未熟児網膜症(ステージ5)
ステージ5で手術をしない場合には数年後には失明すると言われています。今回の手術により、わずかでも視機能を獲得できる可能性がありますが、定期的な眼底検査が必須となります。

【病院概要】
近畿大学医学部附属病院
病院長:奥野 清隆
病床数:929
所在地:大阪府大阪狭山市大野東 377-2

近畿大学医学部堺病院
病院長:竹村 司
病床数:310
所在地:大阪府堺市南区原山台2丁目7-1

【関連リンク】
医学部 堺病院 教授 日下 俊次
http://www.kindai.ac.jp/meikan/566-kusaka-shunji.html

関連URL:http://www.med.kindai.ac.jp/huzoku/