NEWS RELEASENEWSRELEASE

エコで美味しい豚肉の効率的な生産技術を実用化! 「和歌山ポーク肉質研究会」を発足し、和歌山ブランド構築へ! 近畿大学生物理工学部

2015.07.25

  • 生物理工

エコフィードを給与し「霜降り」になった豚肉のロース(県内農家「アグリズム熊野)で試作した豚肉)

近畿大学生物理工学部(和歌山県紀の川市 学部長 松本和也)食品安全工学科 動物栄養学研究室教授 入江正和、准教授白木琢磨らは、和歌山県畜産試験場と「しもふり豚肉」の生産に成功し、「和歌山ポーク肉質研究会」を発足しました。

本件につきまして、以下の通り和歌山県知事記者発表にて概要が発表されましたのでお知らせいたします。

良質な豚肉を消費者に届けるため、産学官連携のもと、今回開発された「しもふり豚肉」を効率的に生産する技術を核とし、和歌山県産豚肉の高品質化・ブランド化を目指します。

【入江正和教授プロフィール】
所  属:近畿大学 生物理工学部 食品安全工学科 教授
     近畿大学大学院 生物理工学研究科 生物工学専攻担当
学  位:博士(農学)(京都大学)
専門分野:畜産学、ミートサイエンス
主な研究テーマ:肉質評価、畜産物の品質向上、エコフィード

【白木琢磨准教授プロフィール】
所  属:近畿大学 生物理工学部 食品安全工学科 准教授
     近畿大学大学院 生物理工学研究科 生物工学専攻担当
学  位:博士(人間・環境学)(京都大学)
専門分野:生化学
主な研究テーマ:代謝と転写

エコで美味しい豚肉の効率的な生産技術を実用化!
「和歌山ポーク肉質研究会」を発足し、和歌山ブランド構築へ!

畜産試験場と近畿大学は、食味の良い筋肉内脂肪を高めた豚肉を、豚の発育に悪影響を与えず生産する技術開発とその実用化に成功しました。

筋肉内脂肪の多い豚肉は、「やわらかさ」「ジューシーさ」「風味」が増し、食味が向上することがわかっていましたが、これまでの技術では、飼料の調整により筋肉内脂肪を増やそうとすると豚の発育が悪化するなど、効率的な生産が難しいとされていました。

この新たな技術を核に、産学官連携のもと、「和歌山ポーク肉質研究会」を発足し、和歌山ブランドの構築を目指します。

〇農林水産業競争力アップ技術開発
 研究テーマ「おいしい霜降り豚肉&イノブタ肉生産技術の開発」(平成25~27年度)
 研究機関:県畜産試験場・近畿大学生物理工学部(入江正和 教授)

〇今回の開発技術
・筋肉内脂肪を高め、食味を改善する新たな技術として、豚に与える飼料を改良
 麺などの炭水化物を主としたカロリーアップ法と、飼料中のリジン(アミノ酸)*を低くせず、タンパク質を増やす、アミノ酸バランス法の併用が効果的であることを日本で初めて実証

●味と見た目に優れた豚肉の効率的な生産が可能に!
・筋肉内脂肪が通常に比べて約1.4倍に増加
・霜降り豚肉の発生頭数が、通常の飼料に比べて大幅に増加
・余剰食品を活用した「エコフィード」を使うことで、飼料コストを20~30%削減

〇今後の展開
この技術を活用し、産・学・官が一丸となって良質な豚肉を消費者に届けられるよう「和歌山ポーク肉質研究会」を発足しました。
研究会は生産者、食肉関係業者、エコフィード製造業者、畜産関係団体、近畿大学、和歌山県が構成員となり、畜産試験場や近畿大学の技術指導のもと飼料給与方法の改善や豚肉の肉質向上、ブランドの構築を目指します。

1.試験の詳細
・豚の種類:三元豚(ランドレース、大ヨークシャー、デュロック種の交配種)
・肥育期間:約2カ月間(体重57kgから118kgまで飼育)
・日増体量:一日の平均体重増加量 ほぼ1kgと良好な発育
・用いたエコフィード:
      中華麺、チョコレートなどの規格外品、余剰食品を主に活用
      エコフィードに含まれるリジンやタンパク質の含有量を計算して配合
      チョコレートや砂糖により飼料中のカロリーをアップ

※一般的な豚の肥育用配合飼料は外国から輸入されたトウモロコシ、麦などが主原料
※エコフィードの利用は、循環型社会の構築、資源の有効利用、食料自給率の向上等を図る上で重要な取組

2.霜降り豚肉について
・筋肉組織に入っている脂肪(筋肉内脂肪**)の割合を高めた豚肉で、「やわらかさ」「ジューシーさ」「風味」が増します。
・筋肉内脂肪は、霜降りの牛肉(約30~50%)に対し、豚肉(約2~3%)では元々少なく、霜降りであっても4~9%程度です。

3.用語の説明
*リジン 必須アミノ酸の一種。飼料原料の中では、大豆粕などに多く含まれる。
**筋肉内脂肪 筋肉組織の中にある脂質。牛肉の「霜降り肉」とは異なり、豚肉では僅かに筋肉内脂肪が増加するだけで、消費者の嗜好性が向上することが知られている。

【関連リンク】
生物理工学部 食品安全工学科 教授 入江 正和 
http://www.kindai.ac.jp/meikan/1247-irie-masakazu.html
生物理工学部 食品安全工学科 准教授 白木 琢磨
http://www.kindai.ac.jp/meikan/840-shiraki-takuma.html

関連URL:http://www.waka.kindai.ac.jp/