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近畿大学薬学総合研究所・所長 早川 堯夫教授が「平成26年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞」を受賞

2014.04.16

近畿大学薬学総合研究所 (大阪府東大阪市)所長の早川 堯夫教授は、平成26年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞しました。文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に対して、その功績を讃えるとともに科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、さらなる我が国の科学技術水準の向上をめざすことを目的とし、科学技術分野の文部科学大臣表彰を定めています。


【受賞研究概要】

本研究では、高効率遺伝子導入特性を有するアデノウイルスベクターをベースに、独自に開発した簡便・迅速なベクター作製技術を駆使して、あらゆる細胞種に対する高効率な遺伝子導入や特定細胞への標的指向性の自在な制御、複数の目的遺伝子の同時導入などを可能にする革新的な新規遺伝子導入技術の開発に成功しました。特許は、米国、欧州、豪州を含めて7件取得済みで、多くの製薬会社に技術提供され、創薬標的探索、創薬標的バリデーションに関連する創薬基礎研究など大いに貢献しています。また、国内外の60以上の研究機関と共同研究を展開しており、最近では、その活用により、世界初のヒトiPS細胞由来分化誘導肝細胞の作製、市販化に成功しました。一方、抗原性を低減化したベクターを用いた遺伝子治療臨床研究がデンマークで計画されています。
今回開発した新規遺伝子導入技術が生命科学基礎研究は、iPS細胞をはじめとする幹細胞の分化誘導や制御、創薬、遺伝子治療や再生医療への適用等に極めて有益な基盤となることを実証しました。さらに今後は、様々な生命科学分野、医薬品/医療技術開発の発展に寄与することが期待されます。

■日 時 : 平成26年(2014年)4月15日(火)12時10分から
■会 場 : 文部科学省3階 講堂
■受賞者 : 近畿大学薬学総合研究所 所長 早川 堯夫(ハヤカワ タカオ)教授
■業績名 : 革新的な新規遺伝子導入技術の開発基盤研究
      ※今回は、大阪大学からの推薦により大阪大学大学院薬学研究科 水口 裕之教授との共同受賞です。


【早川所長 プロフィール】

1972年(昭和47年)大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了
1991年(平成 3年) 現国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部長
2002年(平成14年)同研究所副所長
2005年(平成17年)(独)医薬品医療機器総合機構顧問
2007年(平成19年)大阪大学医学部招聘教授
          近畿大学薬学総合研究所特任教授
2008年(平成20年)同研究所所長


【早川所長 コメント】

2012年(平成24年)春の叙勲では、長年にわたり公共的に重要な職務を果たしたとのことで、瑞寶中綬章を受章しましたが、今回は、特定の研究成果が評価されたという点で、研究者として大変うれしく思います。今後は、新たな幹細胞研究に重点をおき、より優れた研究成果を挙げられるよう近畿大学関係者とともに精励努力して参りたいと存じます。


【近畿大学薬学総合研究所について】

従来の薬学にとらわれない独創的な研究を行い、優れた医薬シーズの探索や機能性食品・サプリメントの開発を進めることを目的に、1990年(平成2年)に設立されました。機能性植物工学研究室、食品薬学研究室および先端バイオ医薬研究室の3部門があり、遺伝子工学技術を導入した機能性植物の育種研究や生活習慣病などの難治性疾患の予防・改善を指向した生物活性成分の探索研究、難治性家族性高コレステロール血症の治療法開発・臨床応用、再生医療の実用化に向けた技術基盤作りに関する研究に取り組んでいます。また、国内外の著名な学者や技術者を招いてのサイエンスフォーラムの開催や薬学総合研究所報告の刊行なども行っています。

関連URL:http://www.kindai.ac.jp/topics/2014/04/-26-2.html