近畿大学 バイオコークス技術で東日本大震災の除染廃棄物問題を解決へ
2014.03.22
従来の減容化技術と異なり、汚染バイオマス減容化装置をトラックに搭載する※2ことで、点在する除染廃棄物仮置場で減容化作業が可能となり、中間貯蔵施設への運搬に必要な車両台数は約1/10に減少。さらにバイオコークスによる堅固化のため、汚染物質飛散の心配がない状態で中間貯蔵施設への輸送が可能となります。
今後は、本装置を被災地で稼働するにあたり、その安全性、実用性を実証し住民の方々への理解を得るため、避難指示解除準備区域が残る福島県川俣町※3で非汚染物質を使ったデモンストレーション運転を計画しています(5~6月頃)。また、本格稼働について被災地の方々のご理解と協力を得るために、復興庁、環境省が募集している「平成26年度除染技術実証事業」へ応募準備を進めています。 本デモンストレーション運転を早期に成功させ、一日も早く被災地の汚染バイオマスの搬出が完了するよう、努力して参ります。
(※1)バイオコークス
バイオコークスは、近畿大学バイオコークス研究所副所長の井田民男が平成17年(2005年)に 石炭コークスの代替燃料として開発した新しい木質バイオマス固形燃料で、植物由来のため CO2排出量がゼロ計算されます。すでに国内で商用プラントが稼動し、鋳物用コークスの代替燃料として使用されています。また、「バイオコークスによる放射能汚染物質の減容化技術」は環境省から除染技術の一つとして認定されています。
(※2)汚染バイオマス減容化装置 概要
工業用バイオコークス製造機に汚染バイオマスの粉砕機及び乾燥機を連結したもの。それぞれをトラックに搭載し運搬することができます。そのため、仮置場での減容化が可能となり、中間貯蔵施設への運搬に必要なトラックが大幅に減少。また、バイオコークスの堅固性により、安全に運搬することができます。 生産量300kg/日を想定している。
(※3)福島県川俣町
福島県伊達郡川俣町は、東京電力福島第一原発から20キロ圏外であるが、放射能濃度が高い山木屋地区の一部が避難指示解除準備区域に指定されており、今も多くの方が仮設住宅で生活している。 近畿大学は震災後、東日本大震災復興支援室を設置。特に13学部48学科を擁する総合大学としての研究力を生かし、総力を挙げて東日本大震災に伴う原発事故により一部が計画的避難区域に指定された川俣町の早期復興を支援するために「"オール近大"川俣町復興支援プロジェクト」を立ち上げました。 プロジェクトは近畿大学教員から提案された復興支援策を、(1)農業・産業・町づくり振興支援、(2)除染推進支援、(3)健康・心身ケア支援、(4)放射線・放射能測定支援のグループに分け、川俣町民の意向を取り入れつつ、「川俣町震災復興アドバイザー」として平成25年(2013年)5月31日から本格的に始動。本件もその一環として実施しています。