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"近大育ち"養殖マアナゴを富山の新ブランド産品に! 水産研究所富山実験場から県内へ初出荷 ―― 世界初・アナゴ完全養殖へ研究活動を本格化 ――

2012.10.26

  • 研究所
近畿大学水産研究所(本部:和歌山県白浜町、所長:宮下盛 http://www.flku.jp/)では、富山実験場(富山県射水市、場長代理:村田修)にて、アナゴの中で最も一般的に食用とされるマアナゴの陸上養殖研究を進めてきましたが、このほど、初めてとなる成魚の出荷(約3,000尾)を富山県内向けに開始しました。今後も毎年、富山県内向けの出荷を行なっていく方針です。すでに富山湾の清浄で低温な100m深層海水を飼育に使用していますが、今後は富山特産のシロエビを餌に活用するなど、富山の新たなブランド地場産品として定着させることを目指します。
また今回、親魚となる成魚を多数確保できたため、世界初のアナゴ完全養殖(天然資源に頼らない養殖サイクル)の実現へ向けた研究活動を、来春から富山実験場で本格展開していきます。

今回出荷されるのは、今年3月末に瀬戸内海で漁獲された天然産稚魚(平均全長27cm、平均体重26g)約6,500尾のうち、商品サイズ(45cm・150g以上)に達した約3,000尾です。堀岡養殖漁業協同組合(射水市)を通じて県内の飲食店などに流通します。
富山実験場の30t円形水槽で、夏でも水温20℃前後に維持された深層海水を用い、主にウナギ用の市販配合飼料を与えて飼育しました。すでに、富山特産のシロエビの剥(む)き身加工時に出る残渣物を餌に添加する研究を進めています。こうした工夫をさらに重ねることで、美味と風味を備える新たな富山のブランド地場産品としての定着を目指します。

食材として日本人に馴染み深いマアナゴは、天然産稚魚の入手が難しいため養殖の割合は僅かで、大部分が天然資源で賄われています。近畿大学水産研究所は2004年から、天然資源に頼らない完全養殖実現を目指し、和歌山県白浜町の白浜実験場で養殖研究を開始。2008年、稚魚になる前のノレソレと呼ばれる状態(全長8〜10cm)から成魚に育てることに初めて成功しました。2010年、より生育に適した低温の海水を求めて富山実験場に拠点を移しました。
今回、養殖に成功した成魚の一部は親魚候補として残し、来春から人工孵化・完全養殖を目指す研究活動をスタートさせます。稚魚の前段階で、飼育がより難しいノレソレからの養殖を成功させたノウハウが、卵から育てる完全養殖の実現にも役立つものと考えています。


関連URL:http://www.kindai.ac.jp/topics/2012/10/post-391.html