キャリア(修了生のロールモデル)
修了生(商学研究科・商学専攻・博士後期課程 2020年度修了)
博士後期課程へ進学したきっかけをお聞かせください。
大学卒業後、他大学大学院の修士課程および博士課程に進学し、中国に進出した日系企業で働く日本人と、現地の中国人従業員との間に生じるコミュニケーション・ギャップについて、主に言語・文化の観点から研究していました。実際に、当時の指導教員とともに上海を訪れ、日本人駐在員の方々を対象にアンケート調査を実施し、その結果を論文としてまとめました。また、このテーマに関する論文の発表や共著書の刊行にも携わることができ、5年間の研究を通して、一つのテーマをやり遂げたという達成感を得ました。
一方、研究を重ねるなかで、この問題をさらに深く掘り下げるためには、言語・文化の観点だけでなく、経営学の視点からアプローチする必要があると感じるようになりました。そこで、このテーマをご指導いただける先生を探したところ、近畿大学大学院商学研究科に、この分野に精通した先生がいらっしゃることを知りました。
ご挨拶を兼ねて研究室を訪問し、先生の研究内容や研究に向き合う姿勢について伺うなかで、ぜひこの先生のもとで研究を続けたいという思いが強くなりました。また、先生のような研究者になりたいと感じたことも、進学を決意した大きな理由の一つです。その後、先生からの助言を受け、それまでの研究をさらに発展させる形で、「日本企業における中国人従業員の人的資源管理」というテーマに取り組むことになりました。
現在のお勤め先について、どのようなお仕事をされているか、お聞かせください。
勤務先の大学では、大学教員として、留学生教育やキャリア教育、ゼミでの研究指導を担当しています。研究面では、人的資源管理や異文化コミュニケーションに関する研究を基盤とし、近年では、留学生のキャリアデザインへと研究領域を広げています。
留学生を対象とした初年次教育科目では、日本語教育はもとより、日本の大学で学ぶために必要となるレポート作成やプレゼンテーションなど、基礎的な学修スキルの指導も行っています。また、キャリアデザイン科目では、日本の企業や組織における働き方、採用慣行、キャリアパスについて理解を深めるとともに、自己分析や企業・業界研究、就職活動に向けた準備などを通して、学生一人ひとりが卒業後のキャリアプランを具体的に描けるよう支援しています。
ゼミでは異文化経営を中心に、日本企業における外国人従業員のマネジメント、海外に進出した日本企業の経営、外国人材のキャリアデザイン、国や地域によるマーケティングの違いなどをテーマとした研究を指導しています。さらに、社会共創活動の一環として、医療法人や企業と連携し、それぞれの組織が抱える課題について、ゼミ生と各組織の担当者が協働して解決策を検討・提案してきました。こうした実践的な活動を通して、学生の分析力、協働力、問題解決能力、異文化理解力の育成にも力を入れています。
博士後期課程で培った能力が、現在どのように活きているか、お聞かせください。
博士後期課程では、それまで主に言語・文化の観点から捉えていた日本人と中国人にかかわる課題に、人的資源管理をはじめとする経営学的な視点を取り入れることができました。これにより、異なる文化的背景をもつ人々の間に生じる課題を、個人間の関係だけでなく、組織の制度や人材マネジメントとの関係からも考察できるようになり、研究をより多角的かつ実践的なものへと発展させることができました。
こうして培った、異なる学問領域の視点を組み合わせて物事を捉える力は、現在取り組んでいる外国人材や留学生のキャリアデザインに関する研究にも生かされています。また、博士後期課程で身につけた経営学の知識は、留学生を対象としたキャリアデザイン科目において、日本企業の働き方や人材マネジメント、キャリア形成について指導する際にも役立っています。加えて、研究課題を設定し、調査を実施してデータを分析し、その成果を論文としてまとめる一連の研究を遂行する力は、現在の研究活動だけでなく、ゼミで学生の研究を指導する際にも大いに生かされています。
さらに、研究に真摯に向き合い、ひたむきに探究を続ける指導教員の姿を間近で見ることができたのも、博士後期課程で得た大きな財産です。指導教員から学んだ研究者としての姿勢は、現在の研究活動や学生の研究指導を支える大切な基盤となっています。
今後のご自身の目標や、博士後期課程への進学を検討している方へのメッセージがあればお聞かせください。
今後は、大学院で身につけた経営学的な視点や調査・分析の方法を基盤として、留学生および日本人学生のキャリア形成に関する研究をさらに進めていきたいと考えています。そして、研究を通して得られた知見をキャリアデザイン科目などの授業に反映させ、学生一人ひとりが自らの将来について主体的に考え、よりよい進路を選択できるよう支援していくことが目標です。
本研究科の大きな魅力は、一人ひとりの大学院生を大切にし、それぞれの研究課題や進捗状況に応じて、先生方が親身になって指導してくださる点にあると思います。私自身も、指導教員をはじめ、多くの先生方から丁寧なご指導をいただきました。先生方との対話や研究指導を通して、それまでとは異なる視点や考え方に触れ、研究者としても大学教員としても大きく成長することができました。先生方には心から感謝しており、近畿大学大学院を選んでよかったと心から感じています。
大学院で身につけた、課題を発見し、必要な情報を収集・分析して、自分の考えを論理的に伝える力は、修了後もさまざまな場面で役立ちます。そのような力を身につけ、研究を深める場として、近畿大学大学院は大変恵まれた環境であると感じています。進学を検討している方には、自分の問題意識や探究心を大切にし、ぜひ研究に挑戦していただきたいと思います。

- 商学研究科 商学専攻 2021年3月修了
修了生(商学研究科・商学専攻・博士後期課程 2025年度修了)
博士後期課程へ進学したきっかけをお聞かせください。
博士前期課程では、VLOGのプロモーション・コンテンツが消費者態度に及ぼす影響を研究しました。その過程で、SNS上の情報発信は消費者の認知や感情、購買行動に大きな影響を与える一方、その仕組みにはまだ十分に説明されていない点が多いと感じました。修士研究で得た問いを一時的な成果で終わらせず、理論とデータの両面から継続して明らかにしたいと考えたことが、博士後期課程への進学を決めた大きなきっかけです。
また、研究成果を社会に発信するとともに、教育を通じて次の世代へ還元できる大学教員という進路を具体的に考えるようになりました。博士後期課程では、研究テーマをインフルエンサーによるライブコマースと消費者行動へ発展させ、SORモデルに基づく実証分析に取り組みました。指導教員から助言を受け、学会発表や論文投稿を重ねながら、研究者として自立するための基礎を身につけたいと考え、進学しました。
現在のお勤め先について、どのようなお仕事をされているか、お聞かせください。
2026年4月から、公立大学で助教として教育・研究に携わっています。教育面では「マーケティングリサーチ」を担当し、調査課題の設定、データの収集・分析、結果の解釈と発表までを学生が実践的に学べるよう、授業設計、教材作成、成績評価、学生指導を行っています。今後は「消費者心理」や「データビジネス」も担当し、消費者行動とデータ活用を結びつけた教育を進めます。
研究面では、消費者行動とSNSマーケティングを専門とし、インフルエンサーによるライブコマースや、中国のSNS「RED(小紅書)」上のユーザー生成コンテンツを対象に、消費者の感情表現、情報探索、購買行動を分析しています。研究成果は国内外の学会や査読付き論文を通じて発信しています。また、大学院在学中から非常勤講師として、大学の講義を担当していました。
博士後期課程で培った能力が、現在どのように活きているか、お聞かせください。
博士後期課程で最も培われたのは、漠然とした関心を研究可能な問いへ変え、先行研究を整理し、理論的な枠組みと仮説を構築したうえで、適切なデータと分析方法によって検証する力です。VLOG、ライブコマース、REDへと研究対象を広げるなかで、アンケート調査とSNS上のコメントデータを扱い、結果を客観的に解釈して説明する一連の力を身につけました。これは、現在の研究を計画・遂行する基盤になっています。
さらに、論文執筆、査読への対応、国内外での学会発表を繰り返した経験から、研究内容を相手に応じて論理的かつ分かりやすく伝える力と、修正を重ねながら最後まで成果としてまとめる粘り強さも身につきました。これらの力は、授業で複雑な分析方法を段階的に説明するときや、学生が自分の問題意識を調査課題へ落とし込む過程を支援するときにも直接生きています。博士後期課程で研究と教育の両方に取り組んだ経験が、現在の大学教員としての仕事につながっています。
今後のご自身の目標や、博士後期課程への進学を検討している方へのメッセージがあればお聞かせください。
今後は、消費者行動とSNSマーケティングに関する研究をさらに発展させたいと考えています。アンケート調査だけでなく、SNS上のコメントなどのユーザー生成コンテンツも組み合わせ、消費者が情報に接触してから感情を表し、情報を求め、購買行動へ至るまでの過程を、より精緻に明らかにすることが目標です。国内外の研究者との交流や共同研究、国際的な研究発信にも取り組み、その成果を授業へ還元し、学生が自ら問いを立て、データに基づいて考えられるよう支援していきたいです。
博士後期課程は、知識を増やすだけでなく、自分の問いを持ち、その問いに責任をもって向き合う力を育てる場だと思います。調査設計、データ分析、論文の修正には試行錯誤が伴いますが、指導教員からの助言や学会発表で得た意見を一つずつ研究へ反映することで、着実に前へ進むことができます。私自身も、公益財団法人や近畿大学次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)の支援を受け、研究に集中できる環境の大切さを実感しました。進学を検討している方には、「何を明らかにしたいのか」を大切にしながら、利用できる支援制度も積極的に活用し、目の前の一歩を積み重ねていただきたいと思います。

- 商学研究科 商学専攻 2026年3月修了