世界遺産高野山麓にある樹齢400年のカヤの樹に接木の痕跡を発見
2024.12.20
- 生物
生物工学科准教授 堀端章らの研究グループは、世界遺産である高野山の山麓に位置する和歌山県海草郡紀美野町で、カヤの樹が栽培され大切に保存されてきた理由と方法を、民俗学と分子遺伝学の文理融合型研究によって明らかにしようとしています。
今回、県の天然記念物に指定されている「ヒダリマキガヤ群」のうち、推定樹齢400年の樹が接木によって積極的に増殖されていた痕跡を発見しました。この樹は、接ぎ木技術が利用された現存する樹としては、和歌山県内最古と考えられます。
また、紀美野町内のカヤの樹は地域で遺伝子的に差異があることも初めて明らかになり、カヤの樹が種子で持ち込まれたことや、その後各地域のカヤの種類が混ざることがなかったことなどが推察されました。紀美野町では高野山によりカヤの樹の栽培が奨励され、人の手で管理されていたと考えられており、カヤの樹の遺伝的特徴が明らかになれば、当時の人々の交流の範囲や密度を知ることにつながります。
本件に関する論文が、令和6年(2024年)11月23日(土・祝)に、近畿地区を中心とした作物学・育種学の学会誌である「近畿作物・育種研究会第197回例会講演要旨集」に掲載されました。