所長挨拶

持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)の
達成のために、農学分野の技術革新を通して地球上のさまざまな
食料・環境・生命・健康に関する問題の解決に貢献する

初代所長の江口充副学長・農学部長を引き継いで、アグリ技術革新研究所を統括することになりました。本研究所では、持続可能な環境保全型完全養殖システムの構築、動植物融合型の食料・エネルギー生産システムの開発、微生物起源のバイオ燃料生産技術の開発、微生物の生態解明に基づく新しい魚類感染症予防技術の開発、海洋微生物を資源とした創薬シーズの探索、森林資源等の環境整備等に関わる地域連携、植物病原菌の分生子放出・飛散機構・宿主植物との相互作用のメカニズムの解明と応用、動脈硬化・大動脈瘤の血管疾患の新たな予防・治療法の確立、慢性腎臓病の新たな栄養療法の開発、画期的な増収を目指した農作物の品種改良、食因子のリスクとベネフィットの解明、間接誘導防衛機構を応用した害虫防除に挑みます。さらに、核酸修復機構や性染色体のエピジェネティクスなどの広範囲の応用に通じる基礎研究から農福連携の推進「農の入口」モデル事業の具現化や、農業のデジタルトランスフォーメーションにおける産官学連携研究までも行います。

クロマグロの完全養殖に数十年もの歳月を要したように、波及効果の大きい研究は時間がかかるものです。本研究所は長期的視野を持ちながら時間をかけて基礎を固め、難問に挑戦することを奨励します。新型コロナウイルス感染症が広がる難しい状況であっても、異分野・産官との交流を継続し、自由な発想と直観力に従って「大発見」や「革新」を生み出したいと思います。

松田 一彦 所長

松田 一彦
KAZUHIKO MATSUDA
近畿大学アグリ技術革新研究所 所長
近畿大学農学部応用生命化学科・教授