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理学科化学コース 畑中美穂助教は学術雑誌PCCP (Physical Chemistry Chemical Physics)のPCCP Prizeを受賞しました。

理学科化学コース構造物理化学研究室の畑中美穂助教が第11 回PCCP Prizeを受賞(*)しました。受賞題目は" Theoretical Study on the Lanthanide Chemistry: Structural Fluctuation, Catalytic Ability, and Luminescence"(「ランタノイド化学の理論的研究;構造揺らぎ、触媒能、発光について」)です。3月18日に日本化学会第97回春季年会(慶應義塾大学 日吉キャンパス)において授賞式が行われます。

 計算化学、特に量子化学計算は、触媒や発光材料、磁性材料をはじめとする様々な機能を持つ材料のメカニズムの解明に大きく貢献してきました。しかし、一原子の中に多くの電子が存在するランタノイド(Ln)を含む化合物の量子化学計算は非常に難しく、メカニズムが明らかになっていない現象が数多くありました。本研究では、Ln化合物の機能を調べるための新しい計算方法を提案し、下記の二つの機能性材料(触媒と発光センサー)の機構解明・分子設計指針の構築に成功しました。
(1) Lnを用いる触媒反応の立体選択性発現機構の解明
 近年、グリーンケミストリーの観点から有機溶媒の利用を少なくする、触媒反応が注目を集めています。また、光学活性な分子の一方の立体構造を選択的に生成する高立体選択的な触媒は化学の中で大変重要です。水中で高立体選択的な触媒能が失活しない触媒の一つにLn錯体がありますが、Ln錯体を触媒とする反応の理論的解析は非常に困難でした。従来の量子化学計算による立体選択性の解析は、遷移状態を「決め打ち」で求めて、その安定性について議論していました。しかし、Ln錯体は構造が非常に柔軟なため、少しずつ配位構造の異なる遷移状態が多数存在し、決め打ちによる構造決定では重要な構造を見逃してしまうからです。この問題を解決するため、自動反応経路探索技術の一つである人工力誘起反応法を効果的に利用し、立体選択性を決める段階の遷移状態を網羅的に探索しました。これによって、柔軟な構造を持つ触媒の設計指針が、従来の剛直な構造を持つ触媒の場合とは全く異なることを初めて明らかにしました。
(2) Lnの発光を用いる温度センサーの機構解明と分子設計指針の構築
 Ln発光材料の中でも、環境変化や分子認識により、発光強度が変化する「発光センサー」は、生体内プローブや温度センサーなど様々な分野で応用されています。しかし、発光強度の鍵となるLn化合物の励起状態の計算が困難であるため、理論化学による発光機構解明はほとんど行われていませんでした。そこで、発光材料の量子化学計算を可能にするために、Lnの4f電子が外部環境の影響を受けにくい性質を利用し、励起状態のポテンシャルエネルギー曲面(PES)を基底状態のPESと励起エネルギーの実験値で近似的に表現する方法「エネルギーシフト法」を提案しました。これを用いることで、温度によって発光強度や発光色が変化する温度センサーのメカニズムを初めて明らかにし、さらに、望む温度応答性を持つ温度センサーの分子設計指針を構築することに成功しました。

<参考文献>
(1) *M. Hatanaka, Y. Hirai, Y. Kitagawa, T. Nakanishi, *Y. Hasegawa, *K. Morokuma, "Organic linkers control the thermosensitivity of the emission intensities from Tb(III) and Eu(III) in a chameleon polymer" Chem. Sci.8, 423-429 (2017).
(2) *M. Hatanaka, *K. Morokuma, "How Can Fluctional Chiral Lanthanide (III) Complexes Achieve a High Stereoselectivity in Aqueous Mukaiyama-Aldol Reaction?" ACS Catal. 5, 3731-3739 (2015).
(3) *M. Hatanaka, *K. Morokuma, "Exploring the reaction coordinates for f-f emission and quenching of lanthanide complexes - thermo-sensitivity of terbium(III) luminescence" J. Chem. Theory Comput. 10, 4184-4188 (2014).
(4) M. Hatanaka, *K. Morokuma, "Role of Water in Mukaiyama-Aldol Reaction Catalyzed by Lanthanide Lewis Acid: A Computational Study" J. Am. Chem. Soc. 135, 13972-13979 (2013).



(*)<解説>
「PCCP Prize」はRoyal Society of Chemistry (RSC; 英国王立化学会) が発行する学術誌PCCP (Physical Chemistry Chemical Physics)により設けられた賞です。日本化学会がRSCからの協力依頼に応じ、日本化学会の21ディビジョンに対して受賞にふさわしい候補者の推薦および公募から「PCCP Prize選考委員会」において審査されました。畑中助教は理論化学・情報化学・計算化学ディビジョン推薦をうけました。



※ くわしくはこちらをご確認ください。


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