博士研究員 金子 隆威さんが日本物理学会論文賞を受賞

2023.02.08

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理学科物理学コース 量子多体物理学研究室段下 一平准教授)の博士研究員 金子 隆威さんが、令和4年度日本物理学会第28回論文賞を受賞しました!

・題目 Gapless Spin-Liquid Phase in an Extended Spin 1/2 Triangular Heisenberg Model
(日本語)拡張されたスピン1/2の三角格子反強磁性Heisenberg模型に現れる量子スピン液体相

・概要
空間2次元以上の量子スピン系では、多くの場合、絶対零度で対称性が自発的に破れます。
一方で、絶対零度でも対称性が自発的に破れない「量子スピン液体」と呼ばれる特異な量子状態の出現可能性が1970年代から提唱され、現在でも、高温超伝導体や量子コンピュータとの関連で盛んに研究されています。
量子スピン液体の出現が期待される模型に三角格子を組む量子スピン系が挙げられますが、2000年代の研究では、単純な三角格子模型の基底状態は対称性が自発的に破れることが数値的に示され、量子スピン液体の実現可能性は排除されました。
本論文は、この単純な模型にわずか10%の次近接相互作用を加えると量子スピン液体が相として存在することを、パラメータ数が数千にも及ぶ大規模な変分モンテカルロ計算により示しました。