総合理工研究科エレクトロニクス工学系専攻博士後期課程1年 田中翔也君の研究成果が アメリカ物理学会誌「Physical Review C」に原著論文として出版されました!

2020.01.07

  • 研究

総合理工研究科エレクトロニクス工学系専攻博士後期課程1年の田中翔也君の研究成果が
アメリカ物理学会誌「Physical Review C」に原著論文として出版されました。
この成果は日本原子力研究開発機構との共同において得られたものです。
田中君は現在、日本原子力研究開発機構先端基礎研究センターで特別研究生として研究を行っています。

散逸揺動定理を採用した動力学模型を使用し、234-240U, 236-242Np, 238-244Pu (E* = 15-55 MeV)という広い範囲の核種および励起エネルギーにおいて核分裂片質量分布の評価をしました。
本研究の特色は、原子核が分裂へ至るまでに中性子を放出するという、マルチチャンス核分裂の概念を理論計算へ導入していることです。その結果、実験データを系統的に再現する計算結果を得ました。
特に、励起エネルギーが高い領域においても核分裂片質量分布がふた山構造を維持する傾向や、原子核の初期状態(特に中性子数)に依存するという実験データの傾向を再現することに成功しました。
また、この傾向が核分裂前の中性子放出確率を支配している、複合核の中性子結合エネルギーと相関を持つことを示しました。

Effects of multichance fission on isotope dependence of fission fragment mass distributions at high energies S. Tanaka, Y. Aritomo, Y. Miyamoto, K. Hirose, and K. Nishio Phys. Rev. C 100, 064605 - Published 13 December 2019