活動内容

理工学総合研究所プロジェクト

人・環境・エネルギーの未来創造
~“生命による情報利用”からのアプローチ~

生命は情報の担い手である。さまざまな分子どうしが互いを認識しながら組織をつくり、その中に遺伝情報を蓄え、その遺伝情報の複製を繰り返しながら生命を維持し、やがて遺伝情報を次世代に伝え、その役割を終えると構成分子へと解離していく。生命現象では、分子レベル、細胞間、器官間、そして個体間等々、あらゆる階層において情報のやりとり、すなわち、情報の発信、伝達、増幅、変換、応答が繰り広げられている。
我々は、これら生命による情報のやりとりを、ほとんど理解していないといってよい。思いもよらない仕組みによるものも多いであろうし、今知られていることでも、多くの視点から見つめなおすことで新たなイノベーションにつながる可能性がある。
本プロジェクトでは、「生命による情報の利用」を研究指針の中核に据え、今後の医療・環境・エネルギー問題・将来のインフラ構築に対する新たなアプローチにつながる研究を展開する。さらに、これらの技術開発は我々の将来において必要不可欠であるが、それらを支える科学リテラシー教育のあり方について文理融合による議論を深め、国内外に発信する拠点を構築することを目指す。

理科実験教育法の研究とその実践
~地域の理科教育への貢献~

理工学総合研究所は、未来志向型の研究と教育を先導する共創リサーチセンターとしての役割を担っており、専任教員+兼任教員(理工学部全学科より)による共創型研究の推進に加えて、地域児童・生徒を対象とする理科実験教育法の研究とその実践にも取り組んでいる。
「理科大好きを育てる出前実験」と題して、2016年度より出張実験活動を行っている。この活動は、「身の回りのさまざまな科学現象を体験する実験」をさせることにより、児童生徒の五感を刺激して、科学への興味関心を高めることを目的としており、年間の出張実験の数は20以上、参加した児童生徒の数は2000名を超える。ここでの実践教育は、児童生徒の学習意欲をかきたてつつ、原理法則の理解を促すものであり、理系全分野を網羅し、最先端研究を進める理工総研だからこそ行えるものとなっている。また、この活動は、学問の府である大学の「教育という観点での地域貢献」の一翼を担うものと考えている。

過去の研究活動に関してはこちら

“オール近大”新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト

(令和3年度採択)
“オール近大リカカツ”動画配信による理科好き育成支援活動

小・中学校における理科教育の内容をもとに、理工総研の教員が動画題材を選定する。理工総研には、数学・物理学・化学・生命・素材・機械・電気電子・情報・環境といった専門分野の教員が揃っており、幅広い分野への対応が可能である。また、理工学部をはじめとする理系各学部や研究所からの話題提供を依頼するとともに、動画の共同作成を行う。
テレビ番組やYouTubeでは今でも種々の実験動画を視聴できるが、単なる手品のようなものや、「〇〇をやってみた」を面白おかしく撮影しただけのものが多く、「どうして?」を引き出し、原理法則の理解を促すものではない。本活動では、理学・工学の最前線に立つ研究者が、その矜持をもって社会の理工系リテラシー向上に寄与することを念頭に動画題材を選定する。

(令和2年度採択)
With Corona時代の"オール近大"教育プラットフォームの構築
~いつでも・どこでも・おもろい~オンラインコンテンツの提供

With Corona時代において、学ぶ意欲の維持と向上が全国的な課題となる。その課題解決のためのオンライン教育プラットフォームをオール近大で構築し、近大生と周辺地域の児童・生徒・学生の学習意欲向上を目指す。理工総研を情報ハブとして位置づけ、
1) 全学部・附属学校から児童・生徒・学生の疑問を集約、
2) それを全学部・研究所所属の教員に振り分け、
3) 短い動画コンテンツを作成・配信、
を行う。動画コンテンツには、グローバルエデュケーションセンターの支援により国際感覚を育む内容、リエゾンセンターの支援により事業化意欲を育む内容、さらには社会連携推進センターの支援により持続可能な開発目標(SDGs)など社会全体への意識を促す内容も加える。蓄積された動画資産は、本学園とその周辺地域において、With Corona時代のリベラルアーツ教育やリカレント教育への活用が期待できる。