原子力・放射線分野の人材育成

原子力・放射線分野の人材育成

近畿大学において、原子力に関連する学部教育は、1961年から2002年までは原子炉工学科が担っていた。
原子炉工学科の廃止に伴って、その役割の一部を電気電子工学科と生命科学科に引き継いだ。
2022年度に理工学部に「エネルギー物質学科」が新設され、原子力・放射線を専門として学べる。
近畿大学原子炉を用いた実習も行われる。

理工学部の電気電子工学科・生命科学科から原研へ

原子力研究所では、理工学部の電気電子工学科(1学年14名)と生命科学科(1学年4名)の卒業研究生を受け入れている。(卒業研究;大学3年後期に各研究室に配属されて研究を開始し、4年生の2月に卒業研究発表を行う。大学で学んだことの集大成としての位置づけがあり、必修である。)

卒業研究テーマ(令和元年度~令和4年度)

原子炉特性、原子炉工学

山西教授
  • 近大炉から漏洩する2次ガンマ線の測定
  • 近畿大学原子炉における漏洩中性子線の測定
  • 近大炉の炉心における運転中および停止後のガンマ線強度の測定
  • 近大炉において照射試料が受ける中性子線線量の評価
  • 原子炉炉心で照射試料が受ける中性子線量の推定方法の検討
若林教授
  • 近畿大学原子炉起動用Pu-Be中性子源の特性評価
  • 近畿大学原子炉中性子ラジオグラフィ設備内の熱中性子束測定
  • CsIシンチレータを用いた熱中性子炉における中性子束測定
  • 熱中性子炉スペクトルに対するCsIシンチレータの自己遮蔽の評価
  • CsIシンチレータの放射化を用いた原子炉熱中性子束測定法の開発
  • 近畿大学原子炉C設備試料挿入孔内の熱中性子束測定
佐野准教授
  • 近畿大学原子炉におけるガンマ線を用いた原子炉雑音測定
  • 近畿大学原子炉における水素化カルシウムのサンプルワース測定
  • 近畿大学原子炉を用いた反跳陽子比例計数管の特性評価
  • Feynman-α法を用いた近畿大学原子炉における熱出力測定
  • 近畿大学原子炉の臨界性に対する固有中性子源の寄与
  • KURNS-LINACパルス中性子源の時間分解能測定
芳原准教授
  • 原子炉雑音に係る素過程に関する基礎研究

放射線計測

山西教授
  • 核セキュリティのための線源方向検出器の検出特性の検討
  • α線用サーベイメータを用いた中性子線測定系の特性試験
  • アルファ線サーベイメータを用いた中性子測定体系の検討
  • 福島県川俣町におけるモニタリングポストの適正配置の検討
  • モニタリングポスト配置の空間線量率経年変化に対する対応性評価
  • 原子炉施設内のラドン濃度測定とラドン子孫核種濃度の変動との相関関係
  • 中性子線量測定器の応答
  • 放射化箔法による中性子束測定の標準化に関する検討
若林教授
  • 銅箔中に生成されるNi-63の測定法に関する検討
  • 放射化したCsIシンチレータ中で発生する内部転換電子の計数の高精度化
  • 熱中性子場におけるCsIシンチレータの自己遮蔽効果の評価
  • CsIシンチレータを用いたPu-Be中性子源からの熱中性子束測定
  • 銅箔への中性子照射により発生する陽子の測定法に関する検討
  • 計数式放射線測定器の仮想化と共有化
  • 仮想化による放射線オンライン測定システムの検討
  • シミュレーション計算によるプラスチックシンチレータの特性評価
  • プラスチックシンチレータを用いた中性子測定に関する研究
  • CsIシンチレータの放射化を用いた中性子測定における自己遮蔽効果の補正
  • シンチレータ検出器を用いた波形弁別法による中性子測定法の研究
山田教授
  • 半実験的計算手法を用いたGe検出器のピーク計数効率計算及び体積試料への適用
  • β(α)-γ同時・反同時γ線スペクトロスコピシステムの構築と放射能測定への応用
  • イメージングプレートを用いたきのこ中の放射性セシウム分布測定とその定量解析に関する検討
  • 写真画像からの試料形状把握による非破壊式放射能測定装置を用いた放射性セシウム測定における不確かさ評価
  • α-γ反同時スペクトロスコピ手法の医用α核種放射能測定への応用のための基礎的研究
  • 計数効率の空間分布マップを用いた不定形状試料に対する大口径NaI(Tl)検出器のレスポンス評価
  • 超薄厚プラスチックシンチレータに対するβ線感度の厚さ依存性評価
  • γ線スペクトロメトリーにおける食品中の放射性物質の不均一分布による不確かさ評価
  • シンチレーション検出器による管内壁放射性表面汚染の直接測定法に関する研究
  • 大口径γ線検出器の不定形状試料に対するレスポンス評価手法に関する研究
  • ポリエステルシンチレーションフィルムによるα線選別測定に関する基礎的研究
  • プラスチックシンチレータ式検出器を用いた4πβ-γ同時スペクトロスコピによる41Ar放射能測定
  • プラスチックシンチレーション式4πβ検出器を用いた金箔中の198Au放射能測定に関する基礎的研究
  • 定位立体角法による医用α核種放射能測定に関する基礎的研究
  • 非破壊式放射能測定装置における計数統計に起因する不確かさの評価
  • 非破壊式放射能測定装置評価用ファントム試料の開発
  • タケノコ中の放射性セシウム分布評価の検討
  • 棒状表面汚染モニタの開発
  • 医用α核種放射能測定における線源自己吸収の影響評価
  • γ線スペクトロメトリによる土壌中210Pb定量のためのGe検出器計数効率評価

放射線影響

松田教授
  • 細胞密度がX線による神経細胞死に及ぼす影響
  • ヒトiPS細胞由来神経細胞の分化過程における生物学的効果比
  • ヒトiPS細胞由来心筋細胞の放射線感受性
  • X線過分割照射がヒトiPS細胞由来神経細胞に及ぼす影響
  • ヒトiPS細胞由来神経細胞の分化初期におけるX線影響
  • 高線量のX線によるヒトiPS細胞由来心筋細胞の放射線感受性
  • ヒトiPS細胞由来神経細胞の分化後におけるX線影響
  • ヒトiPS細胞由来神経細胞の細胞分化過程における放射線感受性の変化
  • ヒトiPS細胞由来神経細胞の細胞分化過程における放射線感受性の変化
  • ヒトiPS細胞由来血管内皮細胞の放射線照射による機能変化
  • ヒトiPS細胞由来血管内皮細胞の放射線感受性

大学院教育

専門分野としての原子力・放射線をさらに深く学びたい者には、大学院で学ぶ道が用意されている。それは、「大学院総合理工学研究科エレクトロニクス工学専攻の原子エネルギー分野」で担当している。原子力研究所の教員もこの大学院教育に寄与している。

原子炉物理学、原子炉工学
放射線工学、放射線応用学、放射線計測学 若林源一郎教授、山田崇裕教授、芳原新也准教授
放射線防護学、放射線基礎医学 山西弘城教授、松田外志朗教授

卒業生の進路

過去に原子炉工学科から多くの人材を輩出していたことから、現在も近畿大学に対して原子力業界から多くの求人がある。

卒業生の進路(例)

(進学)

近畿大学大学院、京都大学大学院、大阪大学大学院、東京工業大学大学院

(就職、予定含む;順不同)

日立プラントコンストラクションズ、芝田化工設計、東京ニュークリア・サービス、日本原燃、原燃輸送、上組(かみぐみ)、千代田テクノル、関電パワーテック、ケーイーシー、コーガアイソトープ、クリハラント、原子力安全研究協会、MHI NSエンジニアリング、発電設備技術検査協会、木村化工機、原電エンジニアリング、アトックス、ポニー工業、非破壊検査株式会社、原子力規制庁、関西電力、中国電力、奥村組、大成建設、NESI、金井重要工業、JR西日本、大阪市役所、大阪ガス、山崎製パン、YKK、八尾市役所、シーメンス

お問い合わせ先

原子力研究所 Kindai University Atomic Energy Research Institute
TEL (06) 4307-3095  お電話でのお問い合わせは月~金の午前9時~午後5時までとなっております。
FAX (06) 6721-3743(24時間受付)
E-mail:genken@itp.kindai.ac.jp(24時間受付)