環境にやさしい再生型きのこ栽培技術の開発
白坂 憲章 教授/応用生命化学科長(応用生命化学科)
9: 産業と技術革新の基盤をつくろう
レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る
  • 3: すべての人に健康と福祉を
  • 13: 気候変動に具体的な対策を

 現在、スーパーの店頭では多くの栽培きのこが年間を通して手に入るようになっていますが、その反面、栽培後に産出される廃培地の量も増加し、その処理のコストや環境への負荷についても問題となっています。また、福島第一原発事故に伴う放射性物質の飛散により東日本の栽培用おが屑の流通量が激減しており、新たな培地基材の開発も望まれています。

 一方、近年は多くの栽培きのこに健康機能性に感心が高くなっていますが、含まれる機能性成分ついては、含有量などの規格などは存在せず、店頭で購入するきのこに、我々が期待する機能性が充分に備わっているかは保証されていません。

 私たちは、きのこ栽培を行う際の培地に用いるおが屑を、洗浄などにより再利用が可能なタオル等の繊維素材に置き換えることで、栽培後の廃培地が再利用可能となるだけでなく、従来よりも短期間できのこを栽培できることが明らかになりました。

 本技術を用いることにより、培地基材の安定的な再利用が可能となるため、の廃培地の焼却処理などによる環境への負荷(CO2の発生など)を低減できるだけでなく、培地組成の規格化も可能となり、栽培きのこの機能性成分含量のコントロールなども可能となると考えています。また、同様の技術を用いてマツタケの人工栽培にも挑戦しています。