食料とエネルギーをエコに作る動植物複合生産システムの開発
石橋 泰典 教授/水産学科長(水産学科)
12: つくる責任つかう責任
持続可能な消費と生産のパターンを確保する
  • 14: 海の豊かさを守ろう
  • 15: 陸の豊かさも守ろう

近年,魚介藻類の閉鎖循環式陸上養殖,バイオマス燃料用微細藻の大量培養,養液栽培による植物工場など,様々な食料,再生エネルギーの工業製品型生産システムが次々と開発されるようになった。しかし,個々の生産法の収益性が未だに低く,生産システムの抜本的な効率化が課題になっている。

 上記3種の生産方式は,水を中心とする光,温度,酸素,二酸化炭素等の環境管理技術であり,いずれも類似した水槽と環境制御技術を必要とする。このため,複合生産が可能であり,それによって生産コストの大幅削減が期待できる。

 また,上記3種の単体生産では,飼育排水,肥料の養液排水が重要課題の一つとなっているが,自然界でも動/植物は,排泄物/栄養塩,酸素/二酸化炭素,光量の大/小の生態的な需給関係等を有するため,複合生産によって排液の問題が大幅に削減できる。

 その上,魚の排泄物を肥料にした野菜類は有機栽培となり,養殖場,藻類培養層,植物工場は殺虫剤や薬を使わないため,安全性の極めて高い食料・再生エネルギーが生産できる。まさに「14.海の豊かさを守る」と「15.陸の豊かさを守る」を行いながら,「12.つくる責任とつかう責任」を果たすことができる理想の食料・エネルギー生産である。この目標を目指して様々な生産モデルを開発中である。

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