森林を利用して気候変動を抑制する
松本 光朗 教授(環境管理学科)
13: 気候変動に具体的な対策を
気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
  • 7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 15: 陸の豊かさも守ろう

 気候変動が進んでいます。その原因は、大気中に二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが増えていることにあります。気候変動を防ぐにはまずCO2の排出を抑制すること、つまり石油・石炭といった化石燃料の使用を減らす必要があります。

 森林には気候変動を抑制する2つの機能があります。まず、森林は光合成によってCO2を吸収します。さらに、森林から得られた木材を利用することで化石燃料の使用を抑制しCO2排出を削減することができます。木材を使ったバイオマスエネルギーが代表例です。しかし、木材を利用するには森林を伐採する必要があり、森林の吸収量は減ります。つまり、2つの機能はトレードオフの関係にあるのです。

 では、気候変動を防ぐには、森林をどう利用するのが良いのでしょうか? 森林と木材利用を関連づけた森林炭素統合モデルを開発し、日本での将来予測を行いました。その結果、伐採量を増やすと森林による吸収量は一時的に減るものの、木材利用を上手に進めることにより、長期的にはCO2排出の削減効果が徐々に増えることが分かりました。つまり、短期的には森林の吸収の効果を利用しつつも、長期的には木材利用による排出削減を進めていくことが適切であると言えます。

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気候変動を抑制する森林と木材の役割