次世代農業に向けた「なら近大農法(ICT農法)」の取り組み
野々村 照雄 教授(農業生産科学科)
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
日本の農業では、少子高齢化に伴い、農業従事者が年々減少している一方で、「休耕地」や「耕作放棄地」が増加しているため、深刻な社会問題となっています。また、農業は個人の経験や勘に頼ることが多く、所得確保の不安定さも問題とされています。そこで、このような問題を解決するため、近畿大学農学部は奈良県と連携して「農の入口」モデル事業を展開し、「なら近大農法(ICT農法)」の確立を目指しています。ICT農法とは、農作物の栽培に必要な温度調整や養分供給などの管理機能にICT(情報通信技術)技術を導入することであり、農作業の自動化と省力化を実現します。さらに、栽培管理データをパソコンやスマートフォンなどの電子機器類で確認することができ、農業初心者でも栽培管理が容易となります。これまでに、ICT農法で栽培した糖度が高く、病気に強い新品種メロン(高収益作物)を大手スーパーなどで販売し、市場調査を行うことでICT農法の取り組みを評価してきました。今後、ICT農法を展開することで、①次世代農業に関心のある人材(農の担い手、新規就農者、農業女子など)の増加、②耕作放棄地などの有効活用、③農作物の生産・収穫量の増加と品質の安定化に繋がるものと期待されます。
なら近大農法(ICT農法)を利用した栽培管理システムの確立