ポリエステル繊維媒地

「快適、キレイ、健康」の3K農業で、高付加価値で安全安心な農作物を提供。

植物・人間関係学研究室 × アースコンシャス株式会社 × ネオアグリ・アース株式会社

 アースコンシャス株式会社(徳島市)、同社の子会社であるネオアグリ・アース株式会社(奈良県大和郡山市)および植物・人間関係学研究室との共同開発で、ポリエステル繊維媒地による植物の栽培に取り組んでいます。このシステムは近畿大学による福島県川俣町の復興支援プロジェクトでも活用され、古着から再生したポリエステル媒地を用いてトマト、ハーブ、切り花の栽培を実現。土壌から隔離された媒地のため、被災地を苦しめた風評被害も防ぐことができました。

 リサイクルの古着を利用したポリエステル繊維媒地を構想したのはアースコンシャス社。植物・人間関係学研究室では、園芸的に活用できるしくみを開発するとともに肥料設計を担当。ネオアグリ・アース社はこのシステムを使った植物工場の設置、植物の育成、販売を通じて社会実装に努めています。ポリエステル繊維媒地は排水性、保水性、通気性、肥料の保持力などに優れ、根張りもよく植物が育ちやすい特徴があります。さらに土壌害虫の発生や、連作による媒地の経年劣化に伴う連作障害も抑えられます。福島県川俣町の例で実証されましたが、媒地が単純で従来のように経験に依存する要素がなく、マニュアル的な運営ができます。物理性も安定しており耕運も不要になることから大幅な省力化も実現でき、これまで3Kと言われた農業を「快適、キレイ、健康」の3Kに転換できる可能性を秘めています。

 ほかに土壌と異なる点として、媒地自体に養分がなく肥料コントロールがしやすいことがあげられます。個々に肥料設計を行うことで、たとえば農学部の臨床栄養学研究室などが推進している「医食農連携プロジェクト」で求められる、低カリウム野菜などのピンポイントのニーズに適合した機能性野菜の栽培も実現できます。今後このシステムを活用して、高付加価値で安心安全な野菜を都心部近郊で栽培するといった新しい農業の経営モデルの創出が考えられるとともに、世界にこの栽培法を広めていくことも期待されます。