TOPICS

近畿大学農学部生が葛城市の特産物「二輪ギク」の収穫を体験、農業体験を通じて生産者と交流しながら農業振興を学ぶ

2022.10.27

近畿大学農学部(奈良県奈良市)農業生産科学科では、学生が1年を通じて奈良県葛城市の特産物である二輪ギクの生産について学ぶ農業体験を課外活動として実施しています。6月の圃場見学、10月上旬の摘蕾作業に続き、令和4年(2022年)10月24日(月)に収穫体験を行いました。一連の体験を通して、農業振興に関心・熱意を持つ学生に、現場経験を伴う学習の場を提供しています。P1050370.JPG

ポイント
  • 農学部生が奈良県葛城市の特産物である二輪ギクの収穫を体験
  • 農業振興に関心・熱意を持つ学生に、現場経験を伴う学習の場を提供
  • 今後、二輪ギクについての情報をSNSで発信し、就農者増加や消費拡大への貢献を目指す

葛城市のキク産地は高齢化と後継者不足に直面しています。加えて、華道・生け花で花材として利用されてきた二輪ギクは近年、市場価格の低下が起こり、それ以外の利用方法や販路の開拓が試みられています。この農業体験では、奈良県と近畿大学が平成28年(2016年)に締結した「奈良県と近畿大学との包括的連携に関する協定」に基づき、農学部生が奈良県葛城市の生産者から伝統的な二輪ギクの生産方法について学びます。本学の学生は、生産者やJA職員の方との交流と農業技術の体験を行うとともに、伝統的に生産されてきた特産物としての菊生産をどのように変えていったらいいか、考える機会になっています。

二輪ギクは、側花と頂花の二つの花の絶妙な段差が特徴で、季節を感じる貴重な和花として生け花などで重宝されています。バランスの良い側花と頂花に仕立てるには、脇芽やつぼみを切り取る手間と熟練の技が必要で、生産に高い技術が求められるため産地が限られています。農学部生は、日本一の産地といわれる葛城市で、現場の生産者と共に農作業を体験することで、農業振興を学ぶきっかけとします。また、学んだ知識を用いて、二輪ギクの情報をSNSで発信するなど若い世代の意見を反映させたPR活動を行うことも予定しており、就農者の増加や消費の拡大への貢献をめざします。

P1050713.JPG今回は、農業生産科学科の花卉園芸学研究室および農業経営経済学研究室の学生が参加し、収穫の作業を行いました。前回の摘蕾作業で、二輪ギクとして形を整えたものを収穫・調整しました。市場の規格に合わせて80 cmの長さで収穫を行いました。たくさんのキクが咲いているように見えても、目安の長さに達し、きちんと二輪ギクの形になっているものはその一部のみでした。摘蕾作業の難しさも実感した収穫作業でした。農薬のタイミングによっては害虫であるアザミウマが発生することで花弁に色筋が入ってしまい、商品価値が落ちるという話も聞けました。調整の作業では1本ずつ、不要な葉や黄変した葉を除去して、20本の束を作りました。これは、通常、JAならけんで二輪ギクが出荷される形です。この日は1時間ほどの作業時間で、600本ほどのキクを収穫・調整しました。学生たちには市場価格を伝え、キク生産でどのように労働時間に対する利益を出すのがいいか、考えてもらいました。

今回、収穫を行った二輪ギクは、11月2日(水)・3日(木)に行われる第56回農学部祭で販売を行います。学生は価格設定や宣伝の方法、販売の包装などを自分たちで企画・設定しています。またアンケートにより購買の傾向を調査し、奈良県に情報を提供する予定です。ぜひ足を運んで頂ければ幸いです。


実施概要
日 時:令和4年(2022年)10月24日(月)14:00~16:00
場 所:JAならけん 新庄営農経済センター
(奈良県葛城市辨之庄341、近鉄御所線「近鉄新庄駅」から徒歩約18分)