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条件は、ベンチャー気質

山下健吾(仮名)、23歳。独身。
高校卒業後、近大経済学部を退学し、ミャンマーに渡航。大学を退学したことを心配する両親の目が気になり、近大通信の法学部に3年次編入学し、大学卒業を目指す。

未知の街ヤンゴン、芽生えた新たな夢

山下健吾は近畿大学経済学部に進学し、一生懸命にMBAを目指していた。しかし、その努力とは裏腹に、彼の心はどこか別の場所を求めていた。就職という選択肢が迫る中、健吾は自らに問いかける。

「このままで本当にいいのか?」

その衝動に駆られて、突如として健吾は大きな冒険に向かうことを決意する。両親の反対を振り切って大学を退学し、日本を飛び出した。目的地はミャンマー。とにかく知らない世界を見たかった。海外ならどこでもよかった。新たな挑戦に胸を躍らせ、健吾は旅立った。

ヤンゴンの街では、見たこともない風景が広がっていた。健吾の足跡が未知の土地に刻まれる中、彼は新たな友達に出会い、異なる言葉や文化に触れながら、自分自身を見つめ直した。
ある日、ヤンゴンの小さな喫茶店で、健吾は一杯のミャンマーコーヒーに出会った。

店内に漂う香りは、新鮮で芳醇。現地のコーヒー豆が織り成す風味は、健吾の舌を刺激し、心を奪っていった。これまでのコーヒーとは異なる、深い味わいが健吾を包み込んでいった。

「これがミャンマーコーヒーか…」と、健吾は驚きと喜びの入り混じった表情を浮かべた。コーヒーカップを持ち上げ、その香りを深く吸い込む。そこにはミャンマーの大地の香りや、その土地で丹念に育てられたコーヒー豆のエッセンスが詰まっているようだった。
健吾はその瞬間、ただの飲み物ではなく、ミャンマーの文化や暖かさが凝縮された特別な体験に触れていることに気づいた。
「これは売れる...!」
外に出るとヤンゴンの晴れ渡る空が、健吾の前向きな気持ちとともに広がっていた。心は軽やかで、未来への期待が胸を満たしていた。しかし、健吾は気付かなかった。遠くの空に、そっと忍び寄る雨雲が、ゆっくりと迫ってきていたことに。

夢をカタチに起業支援プログラムとの出会い

ある朝、健吾はいつものように身支度を整えていた。台所ではコーヒー豆の香りが漂い、手元には新しく手に入れたコーヒーグラインダーが置かれていた。
何気なくリビングのテレビをつけると、画面には驚くべき光景が広がっていた。ミャンマーでクーデターが勃発したとの文字が、健吾の視線を引き寄せた。街角に兵士たちが静かに進む映像。健吾は息を呑み、その様子に言葉を失った。テレビ越しに伝わる緊迫感が、健吾の胸に重く座り込んでいた。
日常が一瞬にして変わり果て、健吾の足元に現れた新たな現実。
健吾は帰国を余儀なくされることになった。不穏な雰囲気が漂う街を抜けて空港へと向かった。
空港内は混乱の兆しで満ちていた。多くの人々が急いでチケットを手に入れ、出発ゲートに向かっていた。テレビのモニターからは、ミャンマーの政治情勢に関する報道が続き、健吾もその瞬間瞳を凝らしていた。

帰国した健吾は、まるで抜け殻のような日々を過ごしていた。かつてミャンマーで灯った希望の炎も、無情な運命の風に吹き消され、彼の心には深い暗闇が広がっていた。
実家に身を寄せる中で、自分と向き合わざるを得ない日々が続いた。
大学を退学することを反対していた両親からのプレッシャーが重くのしかかり、彼の心を圧迫していった。

「学生でもない。仕事もない。

俺には何もない。」

健吾は抜け殻のような日々から抜け出すため、新しい一歩を踏み出すことを決断した。近畿大学の通信教育部に入学したのだ。
彼はスクーリングに足を運び、新しい知識を得る喜びを感じた。授業の中で先生や仲間たちとの交流が、彼の心に新たな活力をもたらしていた。

条件は、ベンチャー気質

ある日、スクーリングからの帰り道に、健吾はKINCUBA Basecampという施設を見つけた。興味津々でその場所を訪れると、そこは起業家や新しいビジネスを支援するための施設だった。
その瞬間だった。ミャンマーで手に入れた経験が脳裏に浮かび上がり、ミャンマーコーヒーの思い出が心を揺さぶった。彼の中でもう一度、何かが芽生えるような感覚が広がっていった。

「もしかしたら、ミャンマーコーヒーの会社を作れるかもしれない。」
健吾の心の中では、新たなビジョンが湧き上がってきた。KINCUBAの支援を受けながら、彼はミャンマーコーヒーに関するプロジェクトを進めることを決意した。
また新しい未来が拓けそうだと、健吾はこれからの日々にワクワクが止まらなかった。

自分の明日が楽しみだ。

今回のハイクラススポット

March 2024
no.04

KINCUBA

近大発ベンチャー企業
「2025年までに100社」

KINCUBA

2022年に開設された、学生の起業を支援するプログラム。拠点となる「KINCUBA Basecamp」は東大阪キャンパス前にあり、学生は24時間利用できる。モノづくりのまちである地域特性や同大学が持つ技術を生かせるのが強み。2025年までに近畿大学発のベンチャー企業100社創出を目指し、起業を目指す学生らに学習面から法人登記に向けた支援までトータルでサポートする。
学生だけでなく、教員や研究者に対しても起業支援を行っている。

※実際の施設運営とは異なる場合があります。現在の施設運営については以下「詳細はこちら」をご確認ください。

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