重要なお知らせ

新型コロナウイルス感染症拡大に対する本学園の学生支援策ならびに取り組みについて

2020.04.30

学生・生徒・児童・園児のみなさん
保護者・学費負担者のみなさま

学校法人近畿大学
理事長 世耕 弘成

新型コロナウイルスの感染拡大は、全国に緊急事態宣言が出され、われわれは今、経験したことのない未曽有の事態に置かれています。キャンパスは立ち入り禁止となり、学生のみなさんには、研究活動・課外活動が制限されることが余儀なくされています。また、国内外で多くの方が感染し、亡くなられる方も出ている現状は医学部を持つ大学として、看過することはできません。近畿大学病院においても患者の受け入れを行っており、医療スタッフは自らも感染の危険がある中、懸命な治療を行っています。

本学園ではこのような環境下においても、学生が学びの意欲を持ち続けられるよう、例年と変わらない質とレベルを保った教育を行うことを第一に考え、5月から本格的に開始されるオンライン授業の準備を進めてまいりました。また附属学校においても、これまでも他にさきがけて行っておりましたICT教育をさらに充実させ、教育の質の保証に努めております。

本学園ではこのたび、コロナウイルス感染症拡大に伴い学修環境を失った、家計的に困窮状態になった学生に対し、また大学の社会的責任を果たすため、以下のとおり、学園全体として総額約27億円の支援策を実施することを決定しましたのでお知らせいたします。
(なお、各項目の詳細につきましては、追ってUNIPA等で別途お知らせいたします。)

Ⅰ 経済的な支援
1. 学校法人近畿大学が設置するすべての大学・学校(通学課程)で学ぶ学生・生徒・児童・園児全員に対して、オンライン授業等の学修環境整備を含めた自宅学修支援金として一律5万円、学園全体として総額で約23億円の支援を実施します。
(参考:対象人数 令和元年(2019年)5月1日現在46,473人)

2. 近畿大学コロナ対策緊急奨学金の新設(20万円 無利子・貸与)(対象:通学課程の大学生、大学院生)
これまで、本学では家計が急変した学生を対象に近畿大学応急奨学金(60万円 無利子・貸与)で対応をしておりましたが、このたびの新型コロナ感染症拡大における経済的困窮者に対し、さらに、20万円を貸与する「コロナ対策緊急奨学金」を新設しました。従来の制度よりも書類の手続きを簡素化し、困窮している学生に対して速やかに支援を進めてまいります。返還期間についても延長し、卒業後10年間といたします。なお、従来の応急奨学金との併給も可能となります。

3. 授業料納付期限(対象:通学課程の大学生、大学院生)
これまで5月14日(木)に設定していました令和2年度前期授業料の納付期限を、6月11日(木)に延長します。

Ⅱ 学修・生活面での支援
政府の緊急事態宣言を受け、近畿大学では学生への健康面・感染予防の観点から5月6日(水)までキャンパスへの立ち入り禁止措置を取っておりますが、このたび、5月31日(日)まで期間を延長することにいたします。

1. パソコンの貸与等について(対象:大学生(通信含む)、大学院生)
オンライン授業受講のための支援として、近畿大学生活協同組合・株式会社ソフマップのご協力を得て、パソコン、Wi-Fiルーターを貸与(有償)いたします。

2. メディカルサポートセンターでのオンライン診療・カウンセリングの実施
(対象:通学課程の大学生、大学院生)
東大阪キャンパス内の学生・教職員の健康をサポートする近畿大学メディカルサポートセンターでは、新型コロナウイルス感染拡大により、医療機関の受診が困難となりつつあることに鑑み、本学の学生・教職員限定でオンライン診療を開始いたします。新型コロナウイルスに感染したかもしれないとの不安を感じる場合やその他の体調不良の訴えにオンラインで診療し、場合によっては医療機関を紹介するなど学生の不安に寄り添います。また帰省自粛による一人暮らしの不安や就職活動の遅れ等、精神的不安を抱える学生にカウンセラーによるオンラインカウンセリングも実施します。

3. 全学生に「今だから読んでもらいたい本」の贈呈、書籍の宅配サービスの実施
(対象:通学課程の大学生、大学院生)
自宅(下宿)等から外出ができない学生の心のケアも兼ねて、この機会に今後の人生を大切に生きていくために読んでほしい本を贈ります。学長・副学長・各学部長等が「今だから読んでもらいたい本」を選び、学生にオンライン書店で利用できるギフトコードに、メッセージを添えて送信する形で進呈します。また、中央図書館でオンライン授業期間に図書の宅配サービスを実施し、貸し出しを希望する図書を自宅に届けます(送料大学負担)。さらにはWEBで閲覧できる図書を拡大するなど、読書をすることで読解力や想像力を磨いてもらうことを目的としています。

Ⅲ オンライン授業の実施に向けた準備(対象:通学課程の大学生、大学院生)
大学の各キャンパスで合計10,000件以上実施されている授業について、下記のとおり、オンライン授業の実施に向けた環境整備を行っています。オンライン授業は一部の学部で既に実施をしていますが、全学的には5月11日(月)から実施(当初の5月7日(木)から変更)いたします。
1.テレビ会議システム「Zoom」の有償エデュケーションプランアカウントを、教員用として3,000人分を購入
2. コミュニケーションツール「Slack」の教員・学生向け約36,000人分のアカウントを購入
3.オンライン授業に関する質問に対して、学生向けサポートデスクの設置
  (電話によるZoomとGoogle meetの接続トラブル対応)

Ⅳ 大学の社会的責任を遂行するプロジェクトの実施
「オール近大新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト」の発足
新型コロナウイルス対策として、感染の連鎖を断ち切るための抜本的な対策強化・支援を行います。14学部48学科、医学から芸術まであらゆる分野を網羅する総合大学としての社会的責任を果たすべく、研究力を結集し、世界的なパンデミックに立ち向かうため、文系理系を問わずそれぞれの強みを生かした関連研究や支援活動の企画提案を募り、大学として実行していくことになりました。これまで東日本大震災及び福島第一原発事故で被災した福島県川俣町の復興支援を「オール近大川俣町復興支援プロジェクト」として平成24年(2012年)から現在まで続けてきた経験から、このたびの未曽有の事態にも本学の力を結集し、世の中に役に立つ研究や支援を目指します。

(想定される研究テーマ)
・医学部免疫学教室を中心に、新型コロナウイルス感染症における肺炎の発症メカニズムに関する研究(進行中)
・東大阪市のものづくり企業と連携した、医療関係者が使える防護グッズの開発、消毒液の量産体制の確立
・ウイルスの大気中での飛散や移流拡散の解析
・自宅にこもっている子供たちへの文化的コンテンツの提供
・入院中・手術前の患者さんに対して、ウイルス検出機器を用いたPCR検査を自院で実施可能とし、地域医療へ貢献

近畿大学では、当面の間、対面授業ができないという制約はありますが、そのような中でも「実学教育」と「人格の陶冶」の建学の精神に根差した教育を推進していくことが大学に課せられた使命であると考えます。4月以降、キャンパスに立ち入りができず、図書館等の施設が使用できない状況により、学生・生徒のみなさんにはご不便をおかけしておりますが、オンライン授業を成立させ、質の保証を担保すると同時に、前述のとおり、様々な学修環境の整備に努めております。みなさまのご理解とご協力をお願いいたします。

 

新型コロナウイルスとの戦いは長期戦が予想されています。今まずもってすべきことは自らが感染しないことです。そのため一人ひとりができることを実行しながら、その先にある自由と希望にあふれた未来に向けて、近畿大学として今やるべきことを推進していきたいと考えております。

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【まとめ】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する本学の対応について