教員紹介

梅山 いつき

梅山 いつき
准教授
所属 文芸学部 芸術学科舞台芸術専攻
総合文化研究科
学位 博士(文学)
専門 小劇場演劇を中心とした日本の現代演劇
コメント 1960~70年代の小劇場演劇を中心とする日本の現代演劇を社会情勢と共に考察しています。また、身体、言語、演技の変遷を研究する他、野外劇をめぐるフィールドワークも展開しています。
リサーチマップ https://researchmap.jp/read0141255

“はてな”を大切に、
作品に刻まれた思考の跡を楽しもう

政治の風が吹き荒れた1960年代。現代演劇は大きな転換点を迎えました。“アングラ演劇”と呼ばれた演劇集団は、それまで「こうあるべき」と思われてきた表現のかたちを疑い、実験的で自由な発想に基づく舞台を次々と発表していきました。時にそれは荒々しく暴力的であったり、なかなか理解しがたい物語であったり、どこか近づきにくくもありました。にもかかわらず、多くのアングラ演劇は国を超え、文化の異なる人々を魅了していったのです。たとえば、演劇実験室・天井桟敷を率いた寺山修司。彼の演劇作品は知らなくても、俳句や短歌なら教科書で目にしたことがある人も多いのではないでしょうか?彼は劇団を旗揚げする時に、「見世物小屋の復権」を唱えました。見世物小屋といわれてもあまりピンとこないかもしれませんが、今でも大きなお祭りであれば見ることができます。いかがわしくて、見てはいけないような気がするけど、つい覗いてみたくなる世界です。そんな見世物小屋のような演劇をこころざしたわけですから、その舞台は奇をてらった猥雑な雰囲気のものも多かった。また、日本の古い風土に根ざす表現でもあった。ところが、彼の舞台はアメリカ、フランス、ドイツ、果てはイランに至るまで広く世界各国で高く評価されたのです。一体、何が多くの観客のこころをとらえたのか?おそらく、彼の作品には文化や時代を超えた普遍的な「問い」が込められているのだと思います。寺山はこのような言葉を残しています。 私の将来の志願は権力家でも小市民でもなかった。映画スタアでも運動家でも、職業作家でもなかった。地球儀を見ながら私は「偉大な思想などにはならなくともいいから、偉大な質問になりたい」と思っていたのである。(寺山修司『田園に死す』より) 冒頭書いたように、60年代は政治の季節といわれた時代です。とはいえ、寺山修司や唐十郎、佐藤信、清水邦夫、鈴木忠志、そして別役実といった演劇人たちがつくりあげた作品は期間限定のものではありません。時代を超えて、現代にも通じる大きな問いをわたしたちに投げかけてくれます。そしてこれはアングラ演劇に限ったことではありません。舞台芸術とは、かたちを残しておけない一回限りの芸術です。だからといって、幕が閉じると同時に作品の賞味期限が切れるわけではないのです。舞台を学ぶとき、なぜ過去の作品に触れる必要があるのかというと、それは知識としての歴史を知るためではありません。そう考えた途端、作品は色褪せ、つまらないものになってしまいます。作品のなかに隠された問いを見つけ出すこと。その作業を通じて、自分のなかにある「はてな」に気づくことが重要だと思います。たくさんの作品に触れ、日々の暮らしのなかでは見過ごしてしまう疑問を発見しましょう。

学歴/経歴

学歴

  • 2007年4月 - 2011年3月
    早稲田大学 大学院文学研究科博士後期課程
  • 2005年4月 - 2007年3月
    早稲田大学 大学院文学研究科修士課程
  • 2000年4月 - 2004年3月
    東京学芸大学 その他

経歴

  • 2014年4月 - 2016年3月
    早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 助教
  • 2012年4月 - 2014年3月
    日本学術振興会 特別研究員PD
  • 2011年4月 - 2012年3月
    早稲田大学坪内博士記念演劇博物館グローバルCOEプログラム演劇・映像の国際的教育研究拠点 リサーチアシスタント
  • 2008年4月 - 2011年3月
    早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 助手

研究活動情報

研究分野

  • 人文・社会, 日本文学
  • 人文・社会, 美学、芸術論

研究キーワード

日本近現代演劇, 1960年代の社会と文化, 野外劇

論文

  1. 都市空間における野外劇の役割
    梅山いつき
    都市計画  69  (2)  24-27  2020年3月  [招待有り]
  2. 遠藤ミチロウを召喚せよ 寺山修司/遠藤ミチロウ/蜷川幸雄
    梅山 いつき
    ユリイカ  51  (15)  241-249  2019年8月  [招待有り]
  3. 野外劇の思想──やなぎみわステージトレーラープロジェクト『日輪の翼』に見るしたたかな擬態
    梅山 いつき
    シアターアーツ  (62)  102-109  2018年5月 

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書籍等出版物

  1. 佐藤信と「運動」の演劇ーー黒テントとともに歩んだ50年 , 梅山いつき , 単著 , 作品社 , 2020年3月
  2. 日本の舞台芸術における身体 死と生、人形と人工体 , ボナヴェントゥーラ・ルペルティ , 共著 , 不定さを抱えた身体ーー平田オリザのロボット演劇プロジェクトをめぐって , 晃洋書房 , 2019年3月
  3. 1966年、自由劇場始まりの年展示図録 , 共著 , 定式からの脱出と“イマジネーション・ボックス”の出現──アンダーグラウンド・シアター自由劇場の変容と佐藤信初期作品 , 日本大学芸術学部演劇学科 , 2016年9月

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講演・口頭発表等

  1. 1960年代以降の仮設劇場・移動型舞台公演 , 梅山いつき , KAAT×YNU「芝居の大学」 , 2020年2月24日
  2. 水族館劇場特別イベント・対談「どっちみち風は吹く」 , 毛利嘉考, 梅山いつき , 2019年4月7日
  3. 佐藤信と日本劇場史 , 梅山いつき , 近現代演劇研究会 , 2018年10月27日

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MISC

  1. 書評『つかこうへいの世界 消された〈知〉』 , 梅山いつき , 演劇学論集 , 70 , 178 , 184 , 2020年6月
  2. 戦後日本と「土佐源氏」 , 梅山いつき , 中国新聞 , 6 , 6 , 2020年1月
  3. 来訪と放浪ーーさすらい姉妹の旅の夏 , 梅山いつき , 朱もどろの海の彼方からーー報告・琉球幻視行 , 36 , 37 , 2019年12月

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受賞

  1. 2013年7月, AICT国際演劇評論家協会, AICT演劇評論賞受賞, 『アングラ演劇論』

競争的資金

  1. 科研費, 基盤C, 演劇と市民社会:佐藤信による劇場創造とアジア演劇との交流事業に関する調査
  2. 科研費, 基盤C, アングラ演劇の演技と空間――寺山修司と佐藤信の作品をめぐって
  3. 国際日本文化研究センター, 日本の舞台芸術における身体ー死と生、人形と人工体

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