睡眠について

現在の日本は、24時間社会の拡大により5人に1人が睡眠の問題をかかえているといわれています。
良い睡眠がとれることは、学生生活や社会生活を送る上でとても大切なことです。
睡眠が不足することで、判断を鈍らせ事故につながったり、高血圧・心臓病・脳卒中・肥満などになりやすいとも言われています。
また、心の病気の一症状である場合もあります。

睡眠の種類

睡眠は大きく分けて、ノンレム睡眠とレム睡眠の2種類あります。
ノンレム睡眠は脳が休息している状態で、覚醒時に比べると全身の筋肉がほぼゆるんだ状態にあります。
レム睡眠は脳が覚醒に近い状態で夢を見ていることが多く、目・呼吸に関する筋肉以外は完全にゆるんだ状態を言います。この時に急速眼球運動と言って、閉じた眼球が動いたりします。
まず、睡眠はノンレム睡眠から始まり、90分1単位としてノンレム睡眠・レム睡眠を繰り返すといわれ、起床時間に近づくにつれてレム睡眠が多くなります。
そのため、ノンレム睡眠時に起こされると強い眠気で、すっきりとは覚醒しにくいわけです。

睡眠は、どのような役割をもっているのか?

成長ホルモンを放出する

成長ホルモンには、子供では体の成長を促し、成人では組織を修復して疲労を回復させるなどの重要な働きがあります。この他、表皮の細胞分裂を促進させる事で肌を美しく保ったり、怪我を治りやすくするなどの働きがあります。

免疫を増強する

風邪などの病気になると免疫系が活発になりサイトカインというたんぱく質が増えて、細菌やウイルスの増殖をおさえようと働きます。このサイトカインには眠気を起こす作用があり、眠ることで病気の回復を早めます。

心身の疲れを癒し脳での情報整理をする

脳は常に膨大な情報処理作業を行っていて、眠っている間も完全に活動が止まるのではなく、昼間入れた情報を整理整頓して記憶を定着させるように働いています。睡眠はそんなオーバーヒートしそうな脳を冷却し修復したり、ストレスの原因となる有害物質を除去する働きもあります。

より良い睡眠をとるには?

  • 自分にあった睡眠のリズムをつくりましょう。
  • 適度な運動や入浴をしましょう。
    眠気は体の奥の深部体温が下がることでおこり、この落差が急なほど眠気は強くなります。このことから眠る4~6時間前にウォーキングなど軽い運動で深部体温を上げておいたり、眠る2~3時間前にぬるめの温度で入浴することで落差を作ると眠りに入りやすくなります。さらに入浴にはリラックスさせる効果があるので、副交感神経が優位になり自然な眠気が起こりやすくなります。
  • カフェインには覚醒作用があるので、寝る前にはコーヒー・お茶・チョコレートを控えましょう。
  • 寝酒は眠りの質を下げるので控えましょう。
    飲酒後に眠るとノンレム睡眠が減って睡眠が浅くなり、利尿作用を伴うなどして中途覚醒し睡眠の質が低くなります。また、寝酒が続くと酒がなくては眠れなくなり飲酒量が増えていきます。
  • 朝は朝陽を浴び、メラトニンの分泌を促しましょう。
    メラトニンとは、脳の松果体から分泌されるホルモンで、眠りを誘うホルモンと考えられています。
    朝、光が目に入り15時間前後でメラトニンが分泌されて、夜に自然な眠気が生じてきます。暗くなると分泌量が増えてくるのですが、就寝前に強い光(例えばパソコンなど)が目から入ると分泌量が減少して眠気がなくなってしまうので、就寝30分前には照明を暗くするなど工夫をするとよいでしょう。
    メラトニンは、牛乳・バナナ等に含まれているアミノ酸が分泌を促すといわれています。
  • 睡眠の形にあまりこだわらないようにしましょう。(何時間寝なければならない等)
    不安・ストレスがあり眠れない場合、ある程度受け入れ、無理に寝ようとしないことも大切です。

よりよい睡眠をとるために睡眠のメカニズムを知り1カ月程工夫してみて、まだ不眠が原因と思われる症状(疲労感・集中力の低下等)が続く時は医療機関で相談しましょう。