過換気(過呼吸)症候群について

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不安や緊張に襲われたとき、突然胸が苦しくなって、息を吸っても吸っても治まらず、そのうち手足がしびれてきたなどの経験はありませんか?それは、過換気症候群の症状です。とくに10~20代の若い女性に多く見られますが、男性や高齢者でも起こることがあります。

なかには、けいれんを起こしたり意識を失い倒れたりすることもありますが、ほとんどの場合、発作は時間とともに治まってきます。何度も発作を経験した人は「どんなときに、どんなきっかけで起こるのか」ということが分かってきます。そんな時、正しい対処法が理解できていれば、発作への不安を和らげ、未然に防ぐことができます。

今回、発作と上手くつきあうための対処法などを中心に説明しますので参考にしてください。

どうして起こるの? 発作の原因とは

心に抱えている不安や恐怖、緊張など精神的なストレスが引き金で起こります。人によって感受性の違いはありますが、発作を起こしやすい性格として、「几帳面」や「心配症」などが挙げられます。

上記以外に、マラソンなどスポーツの直後や睡眠不足などの肉体的疲労からも起こります。これらがきっかけで、脳の中にある呼吸中枢が過剰に刺激されるため、呼吸が速く・短くなります。息を「ハーハー」と吐く過剰な換気を起こすと、血液中の二酸化炭素が呼気中に多く出されて、血液がアルカリ性に傾き、次のような症状が現れます。

症状

呼吸器の症状

  • 窒息しそうな息苦しさ
  • 呼吸が速くなったり荒くなる

神経の症状

  • 手足の先のしびれ感
  • 口のまわりのしびれ感
  • めまい、嘔気、冷汗

循環器の症状

  • 動悸、頻脈

*発作が長引いたり悪化するとけいれんなどを起こし、意識が消失することがありますが生命に関わることはありません。

紙袋はホントに効果があるの? 発作が起こった時の対処方法

血液内の二酸化炭素濃度を上げる目的で、紙袋を口と鼻にあて、吐いた息を再度吸い込む行為を「ペーパーバッグ法」と言いますが、実際には、繰り返し行っても二酸化炭素の濃度はさほど上がらず、ぴったりと袋をあてることで、逆に酸素濃度が低下し、酸素不足になり、窒息する可能性があります。正しい適切な対処法は、まず呼吸のリズムを整え、正常に戻すことが大切です。ポイントは息を吸う、吐くを1:2の割合で行い、1回の呼吸に10秒ぐらいかけてゆっくり行います。このとき、周囲にいる人が過剰に心配し反応してしまうと、本人が余計に不安定となり、却って症状が悪化することもあるので、なるべく冷静に対処しましょう。介助する時は、速くなった呼吸を整えるために、ゆっくり背中を押してあげると効果的です。

治療

特に検査で異常がなく、発作時に動脈血の酸素と二酸化炭素濃度を調べれば診断がつきます。しかし、心臓や呼吸器の病気、パニック障害などから症状が出ることもあるため、気になる場合は医療機関を受診して医師に相談しましょう。

原因がストレスや緊張から来るものであれば、ゆっくり深呼吸をすることも大切ですが、日頃から自分なりのストレス解消方法(音楽を聴いたり、美味しいものを食べる等)を見つけて、リラックスする時間を持つことも効果的です。