薬物依存

薬物乱用とは

薬物乱用とは、医薬品を本来の医療目的から逸脱した用法や用量あるいは目的のもとに使用すること、医療目的にない薬物を不正に使用することをいいます。もともと、医療目的の薬物は治療や検査のために使われるものです。それを遊びや快感を求めるために使用した場合は、たとえ一回使用しただけでも『乱用』にあたります。

薬物を乱用するとどうなるの?

乱用される薬物は脳の中枢神経に作用し、多幸感や高揚感、快感をもたらします。最初の使用で気持ちよくなるともう一度その薬物を使いたくなり、快感を求めたり不安や気分の落ち込み、イライラしたときなどに薬物を求めるようになってきます。これを精神依存といいます。
このようにして使用を続けているうちに今までと同じ量では効き目が現われなくなり、同じ効果を得るためにより多くの量の薬物を必要とするようになってきます。また乱用される薬物は摂取をやめると非常に苦しい離脱症状が現われます。これを身体依存といい、この離脱症状を緩和するために繰り返し薬物を使用してしまうのです。また、薬物がなくなるとどんなことをしても薬物を手に入れようとします。薬物依存はこのように精神的・身体的に苦痛を与え、また仕事や日常生活、人格にまで影響を及ぼす危険があります。中には急性中毒により死に至ることもあります。

※フラッシュバックとは
薬物依存に陥り幻覚や妄想などの症状が一度生じると、その後治療によって表面上は回復しているように見える状態でもそれらの症状が起こりやすくなります。乱用をやめてもストレスや飲酒などをきっかけに突然幻覚や妄想が再発することがあります。これをフラッシュバック現象といい、薬物乱用による害は生涯続きます。

乱用される薬物とは

乱用されている薬物には様々な種類があり、主に注射や吸引などで摂取されています。薬物は別の呼び名(呼称)で呼ばれていることがあります。以下に依存性のある薬物を示します。

薬物の種類 呼称 中枢作用 症状
覚せい剤 エス
スピード
シャブ
アイス
興奮
  • 精神依存が非常に強い
  • やめてもフラッシュバックや精神症状が起こりやすい
  • 幻覚、妄想が生じたり大量摂取により死に至る
シンナー・有機溶剤 アンパン 抑制
幻覚
  • 吸入により肺から血液に溶け、全身に達して各器官に障害を起こす
  • 薬物乱用の入り口になりやすい
大麻・マリファナ ハッパ
チョコ
抑制
幻覚
  • 感情が不安定になり、暴力的挑発的行為が現れる
  • 幻覚、妄想が現れる
コカイン コーク
スノウ
ホワイト
興奮
  • 効果の持続が短い
  • 皮膚内を虫が這うような体感幻覚に襲われる
ヘロイン スマック 抑制
  • 強い依存性がある
  • 大量摂取により死に至る
あへん ジャンク 抑制
  • 精神、身体依存が強く、使用中止で出現する症状が激しい
  • 慢性中毒をおこし、精神錯乱となる
LSD ペーパー
ドラゴン
エル
幻覚
興奮
  • 薬物の中でもっとも強力な作用を持つ幻覚発現剤、ごく微量で作用
  • 幻覚作用により自殺や殺人などを起こす
MDMA・MDA エクスタシー
ラブドラック
興奮
  • 精神依存が強く、乱用を続けると錯乱状態になり、腎、肝障害や記憶障害を引き起こす

断る勇気

大学生の間でも飲み会やパーティー、また友人のすすめなどにより興味やその場の雰囲気で薬物を乱用し、薬物依存に陥っていくケースがみられます。薬物は身体的・精神的に計り知れない悪影響を与えるだけでなく、違法薬物は所持した時点で厳しい社会的制裁(刑事罰)を受けることになります。「楽になる」「気持ちよくなる」「やせる」など、たとえどのような誘い文句や手段で誘惑を受けたとしても、はっきりと「No」といえる勇気を持ってください。自分の人生が薬物によって台無しにならないように薬物を強く拒否し、自分自身の人生を薬物からしっかりと守ることがとても重要です。