古民家再生プロジェクト -茅葺き屋根の葺き替え 2015- その1

2015.05.14

  • 建築

東広島市豊栄町能良に立つ、茅葺き屋根の古民家。以前は診療所や塾の合宿所等として使われていましたが、空き家になって10年以上が経ち、室内外ともに傷みが激しくなっていました。
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2012年度から「古民家再生プロジェクト」の一環として整備・修繕が進められ、現在では、下の写真のような状態にまで修復しました。
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【葺き替え前(2012年撮影】 【葺き替え後(2014年撮影)】

「古民家再生プロジェクト」とは---建築学科環境設計研究室(市川尚紀准教授)を中心に行っている、地域に残る茅葺き古民家の再生を行う活動。茅葺屋根といえば世界遺産の「白川郷」や伊勢神宮などが有名ですが、東広島市にも48棟が現存しており、これは県内でも有数で、全国的にも希少な地域となっています。

ゴールデンウィークの4日間、今年も茅葺屋根の葺き替え作業をするということで、取材に行ってきました。
今回は、昨年茅の量が足りず作業ができなかった北側の中段部分の葺き替えです。
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初日は、あいにくの小雨でしたが、今回ご指導いただく茅葺職人の沖元太一さんをはじめ、活動当初からこのプロジェクトを献身的に支えてくださっている西中国茅葺き民家保存研究会 代表の 上田進さん、島根県からボランティアで訪れた一般の方、初参加の1年生など、茅葺きを愛する人たちが現地に集まりました。

まずは葺き替え作業するための足場づくりから行われました。
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同時進行で、冬の間に学生たちが茅場で刈って干しておいた茅を、"押し切り"という道具で70cmほどに切断し、運びやすいように束ねていきます。
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【ゼミや学年の枠を越え和気あいあいと作業が進みます】

それをリレー形式で屋根まで運び、"差し茅" と呼ばれる古くから伝わる技術で補修していきます。
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沖元さんにご指導いただきながら、1年生と2年生の男子学生が "差し茅" に挑戦!沖元さんは、広島県独自の茅葺技術「藝州流」を受け継ぐ若き匠です。

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つい二ヶ月前まで高校生だった1年生も、慣れない手つきながら、匠の指導のもと真剣に差し茅に挑んでいました。「1年生の時からこういった活動に参加することは、とても意義が深い。自分がこれをやったんだという達成感はずっと残るもの。また先輩がリーダーシップをとって動く姿を見て、"次は自分が"という意識が自然と芽生えていく」と市川先生。

作業が一段落したところで昼食タイムへ・・・。  その2へつづく