静電気技術とデジタル顕微鏡を併用したメロンうどんこ病菌に対する農薬感受性の革新的な評価
2025.04.24
- 研究報告
アグリ技術革新研究所所員の野々村照雄教授らは、メロンうどんこ病菌(Podosphaera xanthii)の単一菌叢に37種類の市販の農薬(36種類の化学農薬と1種類の生物農薬)を噴霧した後、静電気技術を用いて胞子を回収し、農薬耐性を獲得しているかについて量的に評価しました。
本研究では、まず、メロン(Cucumis melo)の葉上に1個の胞子を接種・感染させた後、7日間培養して単一菌叢を形成させました。次に、農薬を菌叢全体に噴霧し、3日間培養した後、静電気胞子回収装置(静電気板)を用いて菌叢から放出される胞子を静電捕集し、高解像能デジタル顕微鏡下で本菌の胞子数を計測しました。その結果、16種類の農薬を噴霧処理した単一菌叢から胞子が回収され、これらの農薬に対して耐性を獲得している可能性が示唆されました。特に、クレソキシムメチル(QoI剤)、フェナリモル(DMI剤)、トリフォリン(DMI剤)およびチオファネートメチル(MBC剤)を噴霧した単一菌叢から回収された胞子は、それぞれ20%以上の高い発芽率を示したことから、これら4種類の農薬に対して強い耐性を示すことが明らかになりました(表)。
以上のことから、本研究成果は、農薬耐性を示すうどんこ病菌の新たな評価法として期待されます。
研究概要
