マラリアを媒介する蚊へのネオニコチノイド系殺虫剤の作用機構を解析
有効な殺虫剤の開発による、マラリア・デング熱の感染抑制に期待
有効な殺虫剤の開発による、マラリア・デング熱の感染抑制に期待
2024.07.24
- 研究報告
ネオニコチノイド系殺虫剤は、昆虫の中枢神経に存在するニコチン性アセチルコリン受容体の機能を阻害することで行動に影響を与え、殺虫効果をもたらします。研究グループは、令和2年(2020年)に、ニコチン性アセチルコリン受容体の異所発現技術を開発しました。
本研究では、この異所発現技術を用いて、ガンビエハマダラカの神経伝達に重要な13種のニコチン性アセチルコリン受容体のサブタイプに対する、6種類のネオニコチノイド系殺虫剤の作用メカニズムを解析しました。その結果、受容体のサブタイプごとに6種類の殺虫剤の効き方が異なることを見出し、うち一種類の殺虫剤については、受容体に対する結合のメカニズムを結晶構造により明らかにしました。
ネオニコチノイド系殺虫剤は、ガンビエハマダラカの雌成虫に対して、飛翔能力を阻害するノックダウン活性を示します。研究グループは、このノックダウン活性が作用する際に、特に強く影響を受けるニコチン性アセチルコリン受容体のサブタイプを推定することにも成功しました。
本研究成果は、ガンビエハマダラカの防除に有効な殺虫剤の開発を促し、マラリアの抑制のみならず日本での拡大が懸念されるデング熱の抑制にも利用可能であると期待されます。