菌寄生菌を噴霧接種したメロンうどんこ病菌の単一菌叢から放出される胞子数を測定することで、うどんこ病に対する防除効果を量的・数的に評価しました。
2023.05.01
- 研究報告
アグリ技術革新研究所所員の野々村照雄教授と農学部の松田克礼教授らは、メロンうどんこ病菌(Podosphaera xanthii)に寄生するカビ(菌寄生菌)の感染行動を連続観察するとともに、菌寄生菌を噴霧接種したうどんこ病菌の単一菌叢(きんそう)から放出される子孫胞子の数を計測・解析しました。本研究では、まず、メロンの葉上に1個の胞子を接種し、5日目、10日目および15日目の単一菌叢を形成させました。次に、菌寄生菌の胞子懸濁液(5×105胞子/mL)をそれぞれの単一菌叢に噴霧接種した後、静電気胞子回収装置を用いて、24時間おきに単一菌叢から放出される胞子を静電捕集し、高解像能デジタル顕微鏡下でうどんこ病菌の胞子数を計測しました。その結果、5日目と10日目の単一菌叢に菌寄生菌を噴霧接種した場合、子孫胞子の放出はそれぞれ処理後約4日目と約8日目に停止しましたが、15日目の単一菌叢では、処理後約24日目に停止しました(図)。以上のことから、メロンうどんこ病の発生初期段階で菌寄生菌を処理することで、本病の感染拡大を防止できることを明らかにしました。