イチゴうどんこ病菌の単一菌叢がどれだけの子孫胞子を生涯で放出するか、静電気技術を利用して測定しました
2022.12.21
- 研究報告
アグリ技術革新研究所所員の野々村照雄教授と農学部の松田克礼教授らは、イチゴうどんこ病菌(Podosphaera aphanis)が生涯にどれだけの子孫胞子を生産させるかを解明するため、静電気技術を利用して、単一菌叢(きんそう)あたりの生涯胞子放出数を測定しました。本研究では、まず最初に、イチゴ(Fragaria × ananassa Duchesne ex. Rozier)の葉上に1個の胞子を接種し、単一菌叢を形成させました。次に、静電気胞子回収装置を用いて、24時間おきに単一菌叢から放出される胞子を静電捕集し、高解像能デジタル顕微鏡下で胞子数を計測しました。その結果、本菌は接種後約1ヶ月間、胞子を放出し続け、その生涯放出数は5~10万個でありました(図)。一方、昼間では胞子放出数が多かったのに対し、夜間では少なかったことから、本菌の胞子放出には、光照度が関与していることが明らかとなりました。さらに、夏期と冬期でそれぞれ胞子捕集を行い、24時間内での胞子放出時間を比較したところ、夏期に比べ冬期では、その放出時間が2~4時間短かいことが明らかとなりました。このことから、本菌の胞子放出には、日長も関与していることが明らかとなりました。