静電気を利用した植物病原菌(うどんこ病菌)の胞子捕捉技術を開発しました。

2022.10.09

  • 研究報告

アグリ技術革新研究所所員の野々村照雄教授と農学部の松田克礼教授らは、農作物に甚大な被害を及ぼす植物病害、うどんこ病を防除するため、静電気技術を利用した病害防除システムを開発しました。

本研究では、まず最初に、うどんこ病菌の菌叢(きんそう)から放出される子孫胞子を捕捉する装置(単極型静電場スクリーン)を考案し、その有効性を調べました。
この装置は、絶縁化された導体ワイア(ICW)が並列されており、その導体ワイアをマイナスに帯電させることにより、絶縁体が誘電分極し、その結果、ICWの周囲に静電場が形成させます。その静電場内に入り込んだうどんこ病菌の胞子は、引き付け力(クーロン力)により、ICWに引き付けられ、捕捉されます。さらに、双極型静電場スクリーンを考案し、低電圧でもうどんこ病菌の胞子を捕捉できることを確認しました。これにより、植物病原菌(うどんこ病菌)による感染リスクのない、将来有望な物理的防除法を確立しました。

研究概要

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論文情報

Nonomura, T., and Toyoda, H. (2022) Electrostatic spore-trapping techniques for managing airborne conidia dispersed by the powdery mildew pathogen. Agronomy 12, 2443, https://doi.org/10.3390/agronomy12102443 (IF = 3.949)