柿ポリフェノールは、アルコール代謝物であるアセトアルデヒドを除去することによりDNA損傷を弱毒化することができる事を明らかにしました

2022.06.28

  • 研究報告

アグリ技術⾰新研究所所員の篠原美紀教授と農学部の松嵜健⼀郎助教らは、飲酒等によって取り込まれたアルコールの⼀次代謝物であり⼆⽇酔いなどの原因物質として知られるアセトアルデヒドがDNA を切断する重篤な損傷であるDNA⼆本鎖切断を引き起こすことを、ヒト細胞培養細胞を⽤いた研究により明らかにしました。また、ヒト細胞はこれらのDNA損傷を修復する⼿段を兼ね備えており、放射線などによるDNA損傷を修復する時と同じ⼿法(⾮相同末端結合あるいは相同組換え修復)を⽤いて修復することを明らかにしました。
さらに、細胞にアセトアルデヒドを処理する際に、柿から抽出したポリフェノールとその主成分であるエピガロカテキン(EGC)を同時に加えると、それらはアセトアルデヒドを除去することでDNA上の損傷を軽微にできる事を明らかにしました。この結果は柿ポリフェノールが飲酒によって誘発されるがんを抑制する可能性がある事を⽰しています。

研究概要

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論文情報

Matsuzaki, K., Kumatoriya, K., Tando, M., Kometani, T., and Shinohara, M. (2022). Polyphenols from persimmon fruit attenuate acetaldehyde-induced DNA double-strand breaks by scavenging acetaldehyde. Sci Rep Accepted. IF = 4.379