【SAPジャパン株式会社】工学部情報学科 専門科目「組織活動と情報システム」第3回特別講演を開催

2022.01.07

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11/2(火)、情報学科の必修講義「組織活動と情報システム」で、特別講演の第3回目が開講されました。「組織活動と情報システム」では、毎回、情報システムに関わる様々な産業の最前線でご活躍中の方々を外部講師としてお招きし、最先端の情報技術や経営マネジメント等に関する実践的な内容をご講演いただいています。

今回は、SAPジャパン株式会社 カスタマーサクセス事業本部 プラットフォーム テクノロジー部 カスタマーエンゲージメントエグゼクティブの立石 道生様を講師としてお招きし、「ビジネス・業務を変えるデジタル変⾰について」という演題でご講演いただきました。

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講義の前半は、「日本型経営モデルの限界」「デジタル変革とは何か?」「デザインシンキングの活用」の3つのテーマを基に、日本の置かれた経済状況と情報技術活用の重要性について解説いただきました。 日本型の経営モデルはヒトが行う前提で最適化されたビジネスプロセスであり、それを軸に日本は高度経済成長期より目覚ましい発展を遂げ世界有数の経済大国になったが、時代の変化と共に日本型経営モデルのデメリットが浮き彫りになり限界を迎えつつあること。また、現代社会ではその限界を超えるため、「ヒト」ではなく「デジタル」が行う前提で最適化されたビジネスプロセスに転換する「デジタル変革」が進められており、SAP社でも数々の事例があること。そして、デザインシンキングとは、問題を解決に導くために用いられるヒト中心に考えられたマインドセットのひとつであり、それらが社会のどのような場面で活用されているかなど、現代社会においてのIT技術の現状を知ることができました。

講義の後半は、「デジタル・プラットフォームを考える」をテーマに、世の中に役立つデジタルプラットフォームのアイディア、また、それがどのような効果をもたらすかについてグループディスカッションを行いました。
学生たちからは、日本が抱える社会問題をテーマにした、以下のような様々なアイデアが発表されました。
「私たちのグループは、私たちと同年代くらいの若者を顧客対象に、進路選択に使える補助ツール「ひといろ」を考えました。進路を考える際、判断材料の入手方法やその内容には地域格差などの弊害があり、また、自分のやりたいことを能動的には考えられず悩む人は多くいると思います。学業とは別に、普段読んでいる本やインターネットの閲覧履歴などの情報が自動的に蓄積され、その情報を基に自分の興味のあることや向いている分野の進学先情報とマッチングしてくれるツールがあれば、進路選択の補助になるのではないかと思います。受動的なシステムの方が、自己分析が苦手な人も利用しやすくなります」

「僕たちのグループは、高齢化に伴う人材不足によってもたらされる農業の生産性低下に着眼しました。それを補うためには、もっと農業をやりやすい環境が必要だと思います。そこで、農業に必要な機器や土地を貸し出すサブスクや、都市部など離れたところから機器の遠隔操作が行えるサービスを考えました。アグリーとリモートを組み合わせた「アグモート」と名付けました。ネットワーク上で土地の利用状況や収穫状況、危機の稼働状況や故障などを管理するシステムです。」

「顧客は新幹線の自由席の利用者をターゲットにしました。自由席は、時期によってはとても混雑するので、リアルタイムで自由席の混雑状況を確認できるサービスがあれば、それらを解消できると考えます。座席1つひとつにセンサーをつけて、ネットワークでアプリの情報と連動させる仕組みです」

最後に立石様より「これからの社会で、ITやデジタルを活用したいろいろなサービスをみなさんは考えていかなくてはいけません。今日のディスカッションは、そういった場面でのヒントになると思います。なにか新しいものを考えるときに、経済的であることや技術的であること、また、会社の利益だけを念頭に置くのではなく、まずはそのサービスを受ける側に如何に共感してどうすれば課題を解決できるのかということを考える癖をつけてください。」とアドバイスをいただきました。

SAPジャパン株式会社 立石 道生 様、ありがとうございました。
また、本件の掲載が遅れましたことを心よりお詫び申し上げます。