【情報学科】「組織活動と情報システム」特別講演最終回

2018.02.16

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様々な業界の最前線でご活躍の方から貴重なお話を聞くことのできる、情報学科3年対象の科目「組織活動と情報システム」は、1月16日(火)の講義で最終回を迎えました。
今回は、技術研究組合 国際廃炉研究開発機構(IRID) 副理事長 東京大学名誉教授 新井 民夫様を講師としてお迎えし、「福島第一廃炉技術とロボット」と題し、廃炉作業ロボットの研究開発の現状と課題についてご講演いただきました。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により東京電力の福島第一原子力発電所で発生した原子力事故は皆さんの記憶に新しいと思います。炉心溶融などの放射線物質の放出をともなった原子力事故は深刻な被害をもたらし、放射線量の高い地域では今も避難生活を続けています。
一刻も早い国民の安心・安全な生活を取り戻すため、技術研究組合 国際廃炉研究開発機構(IRID)は、福島第一原子力発電所の事故収束のための廃炉作業に必要な技術の研究開発・人材育成・国内外の機関との協力推進を行っています。

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今回の講義では、原子力の基礎知識や廃炉措置プロセスにおける福島第一原子力発電所の燃料デブリ(※)取り出しに向けた取り組みの現状、廃炉用ロボット開発について調査用の超小型ロボット、高所ロボット、水中ロボット、除染ロボット等を課題とともにご紹介いただきました。
また、廃炉措置終了までの長期計画に必要な人材育成、進捗状況による構想の適宜見直し、様々な技術分野との連携作業の重要性をお話しいただきました。

(※:原発事故で溶けてしまった核燃料が、原子炉の中のコンクリートや金属と混ざって固まってしまったもので、放射線量が非常に高く人間が近づけない)

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廃炉は完全な措置完了までは30~40年後の期間が必要であり、世代をまたいだ長期事業となっています。今現在、学生としてできる支援についてお言葉をいただきました。

福島第一原子力発電所の状況を、ニュースとして捉えるのではなく、一歩掘り下げて科学的に理解すること。技術の適用、失敗、そしてその後の対応や社会に対する影響について深く考えること。社会の技術としての科学技術を幅広く眺める力をつけること。また、授業中の発言、友人とのディスカッション等、コミュニケーション能力を高める努力を続けていくこと。自分の分野を他の分野から眺める知識と経験を積むこと。
今すぐに実践できることが廃炉への手助けになっていくことを学生たちも実感できたのではないでしょうか。

新井様、貴重なご講義をありがとうございました。